炎症性ポリープ | 戸部ウータン動物病院のブログ

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M.ダックスフントに多くみられる大腸の炎症性ポリープの原因は未だ解明されていません。わんわん
特に、M.ダックスフントは免疫疾患の発生が多いので、
免疫メカニズムの異常がこの病変の発生に関与している可能性が考えられています。チューリップ紫
見た目だけでは炎症性ポリープ、良性の腫瘍、悪性の腫瘍などの判断ができません。ヒヨコ
確定診断には病変の一部を切除する病理検査が必要不可欠になります。お月様

治療には内科療法と外科療法がありますが、一般的には内科療法への反応性は様々なようです。ブタ
ステロイド、免疫抑制剤などによく反応するといわています。うり坊
しかし、内科療法の反応が悪い場合は外科療法が推奨されています。ウサギ
稀に炎症巣の一部が癌化していることがありますので、
大腸にしこりが出来た場合は常に病理検査をすることが勧められます。ねこへび
この疾患は、M.ダックスフントの飼育頭数が多い日本で認知度の高い病変であり、
飼育頭数の少ない欧米ではそれほど知られていません。天使


今回の子は頻回の粘膜血便を主訴に来院されました。ヒツジ



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わんちゃんの粘膜血便は比較的良くある主訴で最初は大腸炎と診断し、整腸剤を処方しました。パンダ
便がよくなったり、粘膜血便がでたりと繰り返していた為直腸検査を行いました。おうし座
肛門から3~5cmぐらいのところにしこりがあったのです。天使

無麻酔で針で細胞をとってみましたが、炎症性ポリープ、悪性腫瘍、良性腫瘍のどの可能性もある
という細胞診断の結果でした。てんびん座
エコー検査、レントゲン検査で転移の有無・しこりの範囲などのチェックを行いましたが、
特に転移所見は認められませんでした。黄色い花


そこで麻酔下でしこりの切除、生検を行いました。かに座
今回のしこりの場所は肛門の出口付近ということもあり、プルアウトという術式で行いました。あじさい
直腸を脱腸させてしこりを切除する方法です。ペンギン


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悪性腫瘍だった場合は拡大切除が必要となりますが、良性腫瘍・非腫瘍であれば局所切除で十分と思われます。カメ
病理検査の結果から炎症性ポリープと確定診断がつきました。パンダ


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今後整腸剤・ステロイドの治療がメインとなります。にゃー
ステロイドというお薬は低用量であれば副作用が強くありませんが、

用量が多くなると副作用が強くでます。星
ステロイドの用量が多くなるのであれば免疫抑制剤の併用が必要です。チューリップ赤
また今回は腸粘膜全層を切除していませんので、内科療法での反応が思わしくなければ、
病変のある腸を全部切除しないといけないかもしれません。てんとうむし