スズメのお宿を知っていますか?
旅館とか飲食店ではありませんよ。
本物のお宿、つまり巣です。
最近は滅法少なくなってきましたが、スズメは日本家屋(屋根)に巣を作ります。
もちろん、屋根の上にドカンと作る訳ではありません。
一般的な日本家屋(屋根)には棟巴瓦(むねともえがわら)という物があります。
棟巴瓦の内部には空間があるので、そこへ藁や繊維状の枯草をせっせと運び営巣するのです。
イメージがわかないですね。
下記の写真をご覧ください。
(写真は正当に取得したフリー素材を加工したものです)
入り口は狭い為、カラスはもちろん、他の鳥の侵入は難しい。
高所にあるので、蛇の侵入も難しい。
完璧な要塞です。
なぜ、そんなことを知っているかと言えば・・・
自分で確認したからです 笑
子供の頃の話ですが、スズメが出入りするのを不思議に思い、屋根に上って棟巴瓦を抜いたのです。
あっ!接着している訳ではないので、瓦は簡単に抜けますよ。
すると、雛が3~4羽いました。
もちろん、すぐ元に戻しました。
よくよく観察すると、棟巴瓦の真下には糞が複数落ちている。
耳を澄ませば雛の鳴き声が聞こえる。
何年も何年も春から初夏にかけて、観察というか、たまに気にして見ていました。
すると、ごくたまに雛が下に落ちている。
落ちてるのは生後数日の雛ばかりです。
高所からの落下なので当然、死んでいます。
今にして思えば、兄弟たちに落とされたのかもしれません。
1羽減れば、残された雛たちは余分に餌をもらえます。
可哀そう?
でもね、人間のすぐ側に居るけど野生の鳥なのです。
うまく巣立ちできなかったり、巣立ち直後に外敵に襲われたり、成鳥になっても多くの脅威があります。
目に触れないだけで、多くの野鳥は死んでいきます。
それに、捕食者は小鳥やその卵を食べることで栄養をもらい生きているのです。
カラスや蛇は悪者ではありません。
今の時期、盛んに飛んでいるツバメの大部分は連続で繁殖します(2回の産卵)
それでも1歳を無事迎えるツバメは20~30%と言われているのです。
種を存続させるために短期間で連続繁殖をしているのです、知っていましたか?
ペットとして鳥を迎えている人間から見れば、巣から落ちた雛や怪我をした小鳥を保護したい!
という気持ちは分かりますが、大きな間違いです。
巣に戻すだけならまだしも・・・
野鳥は野鳥の世界で生きているのです。
如何なる理由であっても手を出すことは治外法権。
巣立ち直前であれば、巣から落ちても親は近くで見ていますので、餌を運びうまく行くこともあります。
それなのに人間が勝手に連れ帰り(誘拐)、餌を食べさせることも出来ず殺してしまう。
(連れ帰ったけど死んじゃったというブログ記事は何度も見ています、ほんとクソ)
野鳥の雛の多くは人間から餌を食べません。
仮に食べても、見たこともない人間の明るく暖かい部屋で過ごす時間は恐怖でしかありません。
ストレスで死ぬ可能性もあります。
風が吹き、日が暮れ夜になり、気温が下がり・・・そういう環境下が雛にとって普通なのです。
更に言えば、野鳥を飼うことは鳥獣保護法で禁止されています。
法律違反です。
気持ちは分かりますよ。
雛ではなく、例えば、スズメの成鳥がカラスに追われ羽の損傷があったなら・・・
私も連れ帰るかも知れない。
しかし、一時の感情で手を出してはダメなのです。
野鳥は大きなリスクの中で生きています。
雛が育たなかったり、外敵に襲われるのは自然の摂理です。
それでも、連れ帰り何か月も暮らした場合は・・・一生面倒を見る必要があります。
矛盾していますが、野鳥(特に幼鳥)と言えども長い時間、人間と暮らせば自然に帰すこともリスクとなります。
ただね、多くの仲間と過ごし、パートナーを見つけ、大空を力いっぱい飛ぶという野鳥にとっての当たり前を奪ったことを忘れてはダメです。
例えば電線で寄り添うようにして止まるツバメ、何か叫びながら?一緒に飛んで行くスズメを想像してください。
リスクはあるけど、本当の自由、自然の中で暮らしている。
飼い鳥と野鳥は似て非なるものなのです。
だから・・・
毎年、毎年、ただ、ただ、人間の身勝手な可哀そうという思いで誘拐される雛がいなくなることを祈る次第なのです。
追伸
スズメと暮らす鳥飼さんは多い。
その方々を批判している訳ではありません。
大きなお世話ですが、暮らした以上は大切にしてほしい・・・
・・・偉そうに言うまでもなく、皆さん大切にされています。
ただ、やはり、スズメを保護するような状況に遭遇した場合は考えてほしいのです。
スズメはカゴに入れられる為に生まれた訳ではないのだから。
ペットは仕方ないと言う訳では無いけど、スズメは野生種なのです。