午前10時。
午前の放鳥時間である。
私は2Fから鳥たちのいるリビングへ下りていく。
すると、鳥たちから大歓迎を受ける。
いや、大歓迎ではない。
苦情、渇望、端的な言い方をすれば、きっと罵詈雑言なのだ。
「このやろ~~、開けろ、開けろ!!!」
「ボケ!!カス!!」
「早く開けないと、お前の舌を引きずり出して咬み切るぞ」
鳥の言葉が分からなくて、本当に良かったと思う。
毎日、毎日、決まった時間ばかりか、休みの日は一日中放鳥しているのに、
この私に感謝の言葉もない。
ある者は自由に飛んで、憂さを晴らす。
ある者は、尚も不満気な顔つきで、豆苗を食らう。
そればかりか、せっかく自由になった時間を無駄に使う者もいる。
不安定なカレンダーの上に止まって、1ミリも動かない。
一見、凄い様に見えるが頭を壁に押し当てることで安定化している。
何故、カレンダーに無理して止まる?
馬鹿なのか?
何かの修行なのか?
もし仮に、壁に頭を押し当てて、囚われし者の真理を追究しているのなら、
私の想像を遥かに超えた孤高の存在なのだろう。
私は鳥たちとコミュニケーションをとり守るため、常に人が側にいるようなシステムを
構築している。年間で言えば、鳥だけで留守する時間は合計10時間にも満たない。
当然、旅行も行かなければ、長い買い物もしない。
そんなことを改めて考察すると、真理が見えてきた。
囚われし者は私なのだ。