2017世界大会inパリ⑦ | 飛田恭志の『かゆいとこないです』

飛田恭志の『かゆいとこないです』

『向き・不向きより、前向き』

下町の理容師の日常をつづっていきます。

 

本日はこの中のファッションカテゴリーについて解説とご紹介をさせていただきますので、
「世界大会に出たい!」
「フリースタイルのデザインが決まらない
というコンテスターはもちろん


「休みは買い物に出たい!」

「今晩のおかずが決まらない!」
お茶の間の奥様方も、何らかの参考にしていただければと思いますよ。

( ゚∀゚ )ハァーハッハッ!!

 

さてこのファッションカテゴリー。

別名「コマーシャルコンシューマー」とも言われており、直訳で”商業的消費者”、つまり「消費者目線でフリースタイル(コンテスト版)」ということになりましょうか。

 

まあ先だってのテクニカルカテゴリーが、規定でがんじがらめの、コンテストのために振り切ったヘアスタイルであるならば、こちらは自由にデザインしてもいい、スケートでいう「フリースタイル」であります。

 

 

まずはファッションカテゴリーにおける第一競技
(通称)『ファッションロング』ですね。

これはカットは行わず、セットだけの競技になります。

 

日本チームはこのようなデザインで参戦。

「あーでもねーこーでもねー」と昨年の韓国から一年半かけてデザイン構築してまいりました。

カラーバリエーションはテクニカルとほぼ同様。
黒と白以外はヒューマンカラー1色のみが許されます。

具体的な紆余曲折はと言えば
 

トップのゾーンには、前回までうけていたパネル表現と

毛束表現の間のようなデザインを配置。

 

サイドからバックにかけてタイトに”黒でしめて”

 

男性らしさを表現

 

間違えた。

 

男性らしさを表現。

 

 

カットは大胆に長短をつけ、長いところはフォルムと迫力を

 

 

短いところは繊細さとタッチ数の多さでこれまた迫力を表現するのであります。

 

他国の作品はこんな感じ

 

ドイツかな?

 

 

これはプエルトリコです。

 

続いて第2競技は(通称)「ファッションショート」でカット&セットの競技になります。



まあちょっとほかの作品で隠れちゃってるけど、黒い部分を程よく刈る感じで、ロングで作ったデザインをローゾーンに合わせて短くしていく感じです。

ちなみにこの競技のスタイリングは「ドライヤーやコームやブラシ類の道具が一切使えない」ので、手と、整髪料のみで仕上げていきます。


この競技は例えば『鋏のあとを消す』や、

「刈り面を整える」など、カット技術が問われる種目です。

日本はやはり、カットの技術が素晴らしく、直ばさみなんて構えようもんなら、「待ってました!!」とばかりにカメラや視線が注がれます。
 

ファッションチーム、お疲れさんでした(`・ω・´)b

 

 

結果は皆さんご存知の通り。
テクニカルカテゴリー 3位
ファッションカテゴリー 4位

という、もしかしたら皆さんのご期待に沿えない結果だったかもしれません。
ただ、「世界のレベルは意外なとこからも上がってきている」とだけは申しあげておきましょう。


しかも、前述したファッションカテゴリーの第二競技「ショート」なのですが、「ドライヤーやコームやブラシ類の道具が一切使えない」のはあらかじめわかっていたのですが、まさかドライヤーを使えない種目で突然、監査により開始直前にびしょびしょに濡らされるとは思いませんでした。

事前には「濡らさない」と聞いていたんですけどね。

ドライヤーを使えない種目でどうやってびしょ濡れの毛の水分を飛ばせばよかったのでしょうか。

「濡らしちゃおう」と決めた人は、このウイッグで、一度でも作品を作ったことがあるんでしょうかね?

 

紙っぺら一枚でもいいから前日にでも通達できないもんなのですかね?

 

だいたい技術者の勘でお分かりになると思うのですが、「白い毛の水分はなかなか飛ばない」のです。

前回の遠征だって開始直前に「え~、突然ですがこの競技、5分縮めます。よ~いスタート!」ですからね。

これまで積んできた選手全員の時間や思いをその場の『感じ』であっさり踏みにじれるほど・・・

・・・まあ、おそらく偉いのでしょう。

選手は絶対言い訳をしません。
突然変更されたそのルールでも、最大限「自分の作品」を作り、金メダルを取った人がいるからです。

「じゃあ、濡らされなければ、勝てたのか?」と言われれば、それは私にはわかりません。
しかし。
「全力でやらせてあげたかったな」とだけは思います。

あとから審査員仲間から聞いた話ですが、事前に聞いていた国もあったと聞きます。

 

私たちも前日の会議でそのようなルール変更を聞き漏らしてなかったのか?
または、「明日は突然のルール変更は絶対にないですよね?ね?命かける?」としつこく確認を怠ってしまったのかもしれません。

『日本とは違う。』
自分で死ぬほどつらい思いをして体得してきたその感覚を、私も少し忘れてしまっていたのかもしれません。
 

とても複雑な思いが胸を去来しますが、選手は私なんかの何億倍でしょう。

 

選手はつべこべ言いません。絶対に。
かっこ悪いから。

 

「負けは負けです。ありがとうございました」
などとしか言わないでしょう。


でも、私は言っちゃう。

私以外、こういうことを言っていい人がいないからです。



おい!
当日のスタート直前にルール変更とか
ふざけんな!
!!(゚Д゚#)ゴルァ!!

 

俺が代わりにびしっと言ってやったから、気持ちも「オラぁ!」ッと切り替えて、日本の選手はもちろん、全世界の選手の皆さん、次に向けて頑張りましょう!!

チームジャパンも、ぜひ、次回に向けてまた世界一を目指して、日本の理容を背負い、頑張ってもらいたいと思います。

 

 

 

次回は50歳以上で競われる『マスタースタイリスト』部門と23歳未満の『ジュニア部門」をご紹介します

また読んでね。
( ˘•ω•˘ )