2023年の大河ドラマ『どうする家康』も大坂冬の陣・夏の陣を残すのみで,クライマックスを迎えようとしています。小田原城攻めから朝鮮出兵,関ヶ原の戦い,大坂の役まで,一気呵成にドラマが進行してしまい,呆気にとられています。関ヶ原以降の歴史については,もう少し余裕をもって丁寧に演出することはできなかったのかな?とも思います。徳川四天王と呼ばれた古老の家臣たちの最期も大雑把な描かれかたで,がっかりしました。
さて,2024年の大河ドラマ(第63作)は紫式部の一代記を題材にした『光る君ヘ』です。吉高由里子さんが主演なのでとても楽しみです。新たなビジュアルも公開されました。紫式部は平安中期の作家であり,『源氏物語』の作者であるということ以外には何の知識もありません。生没年は973年~1031年とWikipediaに記されていました。藤原北家に連なる越後守・藤原為時の娘という史実まではわかっていますが,正式な名前すら不詳だそうで,大河ドラマでは“まひろ”といういう呼び名が与えられるそうです。下級貴族の娘に生まれ,男勝りに漢学の素養を磨き,幼馴染の上流貴族で出世街道をひた走る藤原道長の庇護を受けながらも,宮廷女官としてのキャリアを重ね,自らの才能を頼りに作家としての人生を確立しようと模索する女性のドラマなのだろうと思います。同時代のライバルでもある清少納言との女の戦いも見どころです。
ドラマとしては話題性に富んでいますが,せっかくなのでこれを機会に長編小説である『源氏物語』も読んでみようと来年の目標にしました。原文は無理なので現代語訳版が選択の対象ですが,つい最近文庫版としても出版された角田光代さんの翻訳が一番とっつきやすいかもしれません。瀬戸内寂聴さんの翻訳は,表現が冗長な気がします。円地文子さんの翻訳は「末摘花」の段で挫折しました。恋愛物を最後まで読破するのはエネルギーが要ります。
原文の典雅な文章も捨てがたい魅力がありますが,受験勉強の古文精読で苦労したことを思い出すので遠慮したいと思います。