おばあさんは、小さなベッドにすわって、
窓のそとを ぼんやり と 見ていました。
「今日が なんのひか、わからないのよ」
おばあさんは、にこっと わらって言いました。
その日、ベッドのよこに 小さな女の子が来ました
まっしろな かみをした、小さな女の子
ふしぎなことに、女の子は おばあさんの 目を見て、
「おぼえてる?」と 聞きました。
「わたしは、“きおくのはな”だよ!
むかし、あなたが 大事にしてた おはな」
おばあさんは、首をかしげました
でも女の子は にこにこして、手をつないでくれました、不安な気持ちも消えて行きました。
すると、おばあさんの目の前に、
なつかしい景色が ひろがりました
木の下で、犬がじゃれていて
赤いじてんしゃを こいでいる男の子
おじいさんの大きな手が、頭を なでてくれた
「これ、ぜんぶ… わたし?」
「そう。あなたの心の中に さいてる はな
ときどき 忘れちゃっても、大丈夫だよ
このはなは、ちゃんと ここに いるんだよ」
女の子は、そっと おばあさんの手をにぎりました
しばらくして、女の子はいなくなりました
でも おばあさんの胸の中には、
まっしろで あたたかい花が ひとつ 咲いていました
「ありがとうね」
おばあさんは、そっとつぶやきました
その日、おばあさんは やさしい 目をして、
にっこりと 笑いました
「今日はね、なんだか… いい日みたい!」
