皐月闇 | 口遊〜鳴きウサギ〜

口遊〜鳴きウサギ〜

鳴きウサギ|Nakiusagi
静かに鳴く小さな声のウサギ。
青薔薇の咲く場所で、和歌・童話・詩・願いを綴っています。
2009年より、呟きのように日々を記録。
noteでは「舞香亭幻想香炉」という物語の香りを、そっと灯しています。

https://note.com/nakiusagi44

 ー皐月闇ー

明るい夜の浅い眠りの
寝返りのたびに目覚めるのは
ほんとうに眠ってないからなのだと
わたしは疲れ過ぎた重い身体を
幾たびも冷まそうと
冷たいシャワーを浴びてはみる

熱を帯びた肉の部分と
冷めた骨を繋ぐ神経が
ショートするんじゃないかと思う
昂ぶるストレスの嵐の中で
持て余した感情のやり場がない

かと言って話す気力は無い
完璧な愁傷
完璧な憂鬱

ここまできたら
医者も薬も役に立たない

さしずめトルネードが通り過ぎるのを
地下のシェルターで
息を殺して待つだけだ

明るい夜のせいだ
漆黒の闇なら良かった…
自分の五感が恨めしい…

鳴り響く雷雨の夜なら良かった
明日は無いと思えた
星が輝き
希望に満ちて
来たるべき明日を待つような
そんな夜でなければ良かった

眠りたくないのに
眠らなければ明日動かない身体の
不条理と格闘する夜は
殆ど拷問に近い…

逢いたい人には
二度と逢え無い
告げたかった言葉は呑み込んでしまった
言わなくていいことばかり
言ってしまった
やりたいことと出来ることに
雲泥の開きがありすぎて
天から吊るされたパペットに
なった気分…

それでも…
試みは続く…

夢という名の白粉を塗り
涙のアイメークをして
笑いのチークを施して
愛を語るリップスティックで
仕上げる

見開いたわたしの瞳は
見えぬ何かに操られたまま
パペットとして明日も
演じきれるか…

♩空に 囀る

鳥の声…♩

嗚呼 美しき天然…



 


🌟美しい天然…うるわしき天然、或いは
天然の美

田中穂積作曲 武島羽衣作詞

1902年 九十九島を題材にした佐世保女子高等学校の唱歌

昭和24年以降姿を消す

サーカスや活動写真の音楽にも使用されあまりにも有名になる