ー筏の上ー
休日のベッドの上
弛緩した身体を
投げ出して
レースのカーテンから差す日差しと
遊んで回る風に任せて
なんにも考えず
音も立てず
鼓動だけを聞いていた
わたしはあなたを
忘れているのではなく
思いが流れる小川のように
流れに任せているのだから
ベッドは小さな筏となり
たどり着くのは
星の海原
月の海原
真昼の海原
明日が来るなど
思いもせずに
ただ 時が
逝くのを見ていた
一番贅沢だと見ていた
どんな高価なものを買おうと
どんな素晴らしい景色を見ようと
残り少ない人生を
流れるままに漫然と
過ごすのが一番とわかったわたしは
始終
悲しみも苦しみも
喜びも楽しみも
必要ないと思った
わたしは
ベッドという筏の上で
一輪のフリージアのように
香り立ち
深く眠り…
過去の過ちの多くを
経験に変えて織り成してゆく
明日が来るなどと
夢にも思わず…