名も無き鳥 | 口遊〜鳴きウサギ〜

口遊〜鳴きウサギ〜

生きる為に 息をするのを忘れていた
わたしのまわりが 息をするには狭すぎる
野々草を摘んで 口遊みなが ゆっくり ゆっくり歩きたい
勝利者とは誰のこと?
居心地の悪いところに居たくはないの

ー句ー
虫の音を捉え空篭設えり

ー名も無き鳥ー

切り取られた絵葉書の風景に
懐かしい景色が映っていて
ああ あなたらしい と思ったけれど
シャッターを切るあなたの隣に
誰か優しい人がいること
わたしは知っています

あなたが優しい人だもの
隠していてもわかります

大丈夫…
あなたはあなたの時間を生きて
わたしはわたしの時間を生きてる

不思議ね
恋人という時間が終わりを告げても
親友という時間は流れ始める

わたしはあなたに二度とは会わない
あなたもわたしに二度とは会わない

お互いの時間を侵さないため
けれどいつか
戦友になれたら
次の時代で会いましょう

あの時は お互い大変だった
いまの苦労に比べたら
どっちが大変だろうかね?
なんて他愛無いお喋りを
瓦礫に凭れ
酒酌み交わし
愛だの恋だの抜きにして
人として お互いを尊重し
高らかに 朗らかに
笑いあいたいと思うのです

神は性別が無いという…
わたしたちもまた…いつの日か
陰日なた無く 性別を超え
梢で囀る 名も無き小鳥となりましょう

ーうたー

超ゆべきは人の造りししがらみの
いばらを狩りて明日を臨まむ