初恋 | 口遊〜鳴きウサギ〜

口遊〜鳴きウサギ〜

生きる為に 息をするのを忘れていた
わたしのまわりが 息をするには狭すぎる
野々草を摘んで 口遊みなが ゆっくり ゆっくり歩きたい
勝利者とは誰のこと?
居心地の悪いところに居たくはないの

ー初恋ー

冬に咲く花 何の花

ほろりと首の 転がるやうな
白や赤なる 寒椿

帯の模様にしませうか
それとも 半襟 かんざしに・・・

幼き娘もいつの日か
蝶になる日を夢にみる

せっせと 長い黒髪を
大人のやうに結い上げて
ちょっと背伸びをしたいもの

いえいえほんとは
秋の日に 紅葉の雨の降る中で
素敵な方に逢ったから・・・

たとへ叶わぬお方でも
せめて逢ひたい もう一度
もしも お声が聴けたなら
粉雪つもる この場所で
紅い椿となりませう

鼻歌まじりの 初恋の
夢見る白き 首筋は
恋のほんとうを まだ知らず
それでも ほんのり咲いている
白い花びら 寒椿

冬に咲く花 何の花

ほろりと恋に 落ちるやうな
白や赤なる 寒椿