警察小説が多い中でスポーツ小説もリリースする堂場瞬一氏。
水泳を扱った「水を打つ」を読んでから他の作品も読むようになった。
今回、読了したのは「ダブルトライ」。
七人制ラグビーのオリンピック代表選手が円盤投げでもオリンピックを目指すストーリー。
ダブルトライに挑戦する神崎に円盤投げの競技終了後「自己ベストの意味を初めてちゃんと理解できたと思います」と言わせるところが渋い。
作者としては、二つの競技に取り組むことが本当の二刀流と考えたいらしく、同じ競技での二刀流は本当の二刀流ではないとの考え方だ。
その考えていくと昨夏に競泳でインターハイと野球で甲子園に出場したM永君は二刀流になる。
よって、先日の選考会でバッタとフリーでオリンピックに内定したM元選手の事を二刀流とは言わない。
競泳とOWSに出場する選手はデュアルスイマーと言われるが二刀流とは言わない。
法政大学時代の教え子であるK光は水球日本代表でありながら泳力強化の結果、競泳の日本短水路に出場したのは二刀流と言ってもギリギリ許されそうだ。
そもそも二刀流は侍が刀を二本同時に使用することだから別々の時間に何をやろうが二刀流と言うのは変な気がしてきた(笑)。
英語では二本の剣を同時に使うスタイルをTwo-sword styleというそうで、スポーツでディフェンスとオフェンスの両方を担える選手はTwo-way playerと言うそうだ。
現在、読みかけの「空の声」は同じく堂場瞬一氏の小説だがヘルシンキオリンピックに帯同したアナウンサー和田氏が取り上げられている。
ヘルシンキ大会中の古橋廣之進先生のインタビューも登場してくる。
小説ではあるが実在の人物がモデルで評伝のように読めるが著者は文庫版あとがきの中で「あくまでも小説である」と述べている。
ヘルシンキ大会が始まった辺りまで読み進めたが、この後の展開が楽しみである。