MKZ_FACTORY です。
H20 ゴルフ5 GTI DSGギアセレクト時異音 発進不調 修理のご依頼です。
PレンジからDレンジに入れた際、何秒か異音が発生しスムーズに発進しないといった症状です。
2速以降はスムーズに走ります。そのかわり停止時にも異音が発生する場合がありました。若干ジャダーもあるように思います。
今回の車両は冷間時に発生していました。暖気後は冷間時ほどの不具合は感じませんでした。
距離は、5万キロ未満。直前にメカトロ交換したそうですが、症状が改善されなかったとのことです。
当店はDSG専門ではないためそこまで多くの修理を経験していませんが、個人的に湿式6速DSG(02E)の故障診断が難しいように思います。
以前にもブログで紹介しましたが、湿式6速は同じような症状がメカトロ故障でもクラッチの不具合でも発生するので、そこの見極めるのに多くの故障事例を経験しないと難しい機種です。
今回の場合は事前にメカトロ交換されていたので、消去法でDSGクラッチを中心に測定値を走行モニタリングして原因追及していきます。
当店では、昨年度よりDSG走行ログのモニタリングデーター測定サービス行っています。
一応、去年当店に入庫したVW・アウディのDSGやSトロニック車両、全てモニタリング走行実施しデーター保存してありますが、グラフ化するまで3~4時間ほど編集時間かかりますので、昨年度は編集作業の時間がとれずほとんどグラフ化出来ていません。
そのかわり、調子の良い車両の走行データーと調子の悪い車両のデーターサンプルがありますので、参考程度の比較はできます。
どこの測定値がより不具合発見できるかは、いまだ検証中です。測定値より不具合早期発見ができればと思います。
今回のケースは、異音発生時にクラッチストロークの値が変動していました。
どうもクラッチがうまく動作できていない様子です。
湿式6速 02E のクラッチは、2012年中盤に一回品番改良されています。
2012年以前の湿式6速DSGでこの症状が発生する場合は、大半がDSGクラッチ交換で収まります。
というわけで、ある程度走行モニタリングデーター取得した後、クラッチ交換作業に入ります。
今回の車両は、ピレリという限定グレード車両でアウディS3と同型エンジンが搭載されている車両です。
シートには、ピレリのタイヤパターンが縫い付けられており、非常に面白い車両です。
走りも,同じGTIでもピレリのほうが出だしから違いがわかるくらいパワフルでした。


各部品には製造日の刻印がしてあります。
下記は新品部品。2018年製造で刻印されています。
何月何週まで読み取れます。

今回外したクラッチカバー。2008年度ですので、新車時から一回も交換されていないようです。
クラッチカバー単体でも部品でますが、DSGクラッチ部品と同時梱包されていますので、交換履歴の参考になるかと思います。

DSGフィルターハウジングにも刻印してあります。

DSGのフィルタは新品になっていましたが、ハウジングはそのまま使用されている様子。
ハウジングカバーからDSGオイル漏れしている車両が多いので、予防で交換していきます。
Oリングだけの交換では直らないこともりましたので。
部品代金は\3450(税込み)です。

正規部品。

最近、中国経由で格安で部品が手に入ります。
中国国内で販売しているVW&アウディ は、中国国内で部品生産されています。
品質的にまだテストしていませんが、コピー品や社外品ではなくあくまで中国国内生産のVW&アウディ 純正部品ですので、それなりの品質はあるのかなとも思ったりもします。
中国国内で乾式7速DSGは10年保証ですが、こういった経緯があります。
10年間品質保証するわけではなく、10年間無償交換ですので品質的にやはりEU生産品とは違うのかなとも思います。
部品本体にも一部の部品ですが、乾式7速DSGに関してはDE(ドイツ) CN(中国)となどと生産国の刻印があります。
最近、中国経由からの仕入れで国内定価で修理請求する方もおられるようですが、純正品番は同じですので見た目ではほとんどわかりません。
かなりの部品価格差がありますので、DSGの主要部品はすべて写真に載せてどこの部品を使用しているか公開する方針です。
並行品(EUから正規品輸入)する場合でも国内定価より2割~3割安く仕入れれる場合がありますので、高額修理になる場合はいろんな方面でご案内できます。
純正部品と並行品・社外品の使い分けが、PL法も含め当店ではまだまだ課題が多く残ります。
全てを組み終えた後、基本調整・アダプテーション走行して修理完了です。
今回は、DSGオイルは純正品使用しました。
湿式DSGのオイルに関しましては、当店の考えとして社外品でもさほど問題はないと思っています。
SWAGやFEBIビルシュタインブランドのオイルはBMWやベンツ等メーカー問わず適応しています。
PENTOSINはメーカーごとのDCT・DSG・PDKそれぞれのオイル設定があります。
また、オイルのメーカによってメーカーごとの規格オイルでも温度別の年度指数が若干異なります。
純正オイルが全体的に固めの指数でして、社外品は全体的に純正より柔らかめの傾向にあり、年度指数が低くなることで違いがわかるかもしれません。
2006~2012前半の車両で、DSGに違和感ある場合はとりあえずクラッチ交換推奨いたします。
遠方より当店ご利用いただき、ありがとうございました。