MKZ_FACTORY です。
H23 VW ゴルフ7 1.4TSI 発進不良 メカトロ故障修理事例です。
朝一番、駐車場から発進しようとしたが動かないということで当店に修理依頼で入庫しました。

診断機でエラーコード確認します。

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P189C00: プレッシャー増加不足による 機能制限 |
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イベントタイプ2: |
アクティブ/スタティック |
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症状: |
10878 |
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ステータス: |
00001011 |
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イベントメモリー記憶 |
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No.: |
P17BF00: ハイドロリックポンプ プレイプロテクション |
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イベントタイプ2: |
パッシブ/スポラディック |
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症状: |
10902 |
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ステータス: |
00001000
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走行距離は約55000km。サービスキャンペーン対策済みの車両でした。
以前にブログで紹介させてもらいましたが、リンク先がリニューアルしたため検索ヒットしません。
https://ameblo.jp/tn87/entry-12254474119.html
こちらで詳細が載っています。
リコールプラス
ゴルフ7から採用されています、乾式7速DSGは”0AM”から”0CW”と型が変更されています。
主な違いは、メカトロユニットのECU(通称TCU:トランスミッションコントロールユニット)にイモビライザーが内蔵されたことです。
この0CWから、部品商から新品メカトロ供給不可部品となり、実質民間工場では交換不可とされている部品になりました。
TCUにイモビライザーが内蔵されているので、当然中古部品もそのまま取り付けでは使用できません。車両のイモビライザーデーターと一致させる必要があります。
この0CW と呼ばれる乾式7速も2種類存在し、
・GEN1 2013~2015/03
・GEN2 2015/03~
と、大きく変更されているようで、モデルによっては多少前後するみたいです。
対策部品への変更はなく、DSGそのものの構造が変更されているので、初期モデルの車両は持病抱えたDSGとなっているようです。
当店で確認しただけでも、とにかく2013~2015/03あたり のゴルフ7はジャダーが多く発生しており、クラッチ交換してもすぐ再発する傾向にあるモデルのように思います。
前置きは長くなりましたが、新品に交換しても5年で壊れるようなものはもったいないので、現物修理という形で修理しました。
エンジンルーム内確認しましたら、言うまでもなくサービスキャンペーンの内容通りの壊れ方でした。
内部から強烈な圧力がかかってメカトロのケースが変形しています。

取り外します。
サービスキャンペーン実施した結果がこれです。

サービスキャンペーン実施したのにもかかわらず、内容通りに故障して保証期間すぎたので(もしくは保証継承していないので)有償修理という対応は素晴らしいですね。
DSGの不具合は、時間・場所問わずいきなり不動になる(ニュートラル状態になる)トラブルですので、かなり危険度が高いと思われますが、初期物は新車3年保証が切れている車両ばかりです。日本だけでなく、全世界で発生しているDSGの不具合。
本来であれば、ディーラーがメーカーに訴えるべき事例かと思います。
国土交通省にも不具合ホットラインが存在し、不具合の起きた車両にて故障報告があったものについては、情報公開しています。
300件以上DSGに関する不具合報告されていますが、当店でかかわった数十件は報告していません。不具合実数は10倍以上あると思います。
今後、確実に増えてくる不具合かと思いますので、当店もしっかりと体制整えたいと思います。
現物修理の内容を少しだけ紹介します。
とりあえず分解します。
メカトロ現物修理するためのDSGを設置して、メカトロ分解していきます。

見事、アキュームレーターが破裂してケースが割れています。




ケースが弱いというより、アキュームレーターの不具合によって、規定値以上の圧力がかかってしまったように思います。
サービスキャンペーンの内容で、
”自動変速機制御コンピュータのプログラムを書き換え、アキュムレータ内の油圧を低減させることで、容器にかかる負荷を低減”
と記載されていましたが、実測値測定しますとそこまで圧力落ちているように思いませんでした。
この実走行データーはまだ編集していませんので、時間が取れ次第紹介していきたいと思います。
サービスキャンペーン後も先代の0AMに比べて、クラッチ圧力やトルクは増えています。
今回のケースは、サービスキャンペーンでは対応しきれなかった部品本体の不具合に思います。
容器にかかる負荷を低減
とありますが、容器(ケース)も種類が存在します。
今回分解したもの。UK(イギリス生産)部品です。

当店で確認できたのは3種類。
左から
・壊れたケース UK品
・UK(イギリス)
・CN(中国)
・DE(ドイツ)

同じ製造品です。今回はこちらを使用します。

向かって左がUK生産。
右側がCN(中国)部品です。
仕上がりがかなり荒いように思います。

右側がDE(ドイツ生産)何の車種に使われているかわかりません。

全体見比べても、中国部品は荒い仕上がりになっているのがわかります。
=悪いというわけではなく、品質に差があるのは間違いないので、できる限り正規品と同じものでリペアしていきたいと思います。
内部にあるフィルターも新品に交換します。


蓋部分も変形しているので、中古品で交換します、パッキンは新品に交換します。

一応蓋にも、製造日は刻印されていますので、交換履歴の参考になるかと思います。


組んでいきます。

メカトロTCUも、大きく分けて2つ種類があります。
・中国生産 か EU生産
見分け方は、TCUに生産国が記載されています。

ルーマニアが正規部品ですが、中国生産のVW/アウディ純正部品(メカトロ)も存在します。かなり格安で入手できます。
中国部品だから粗悪というものも昔の話で、ものによってはかなり使えるものもあります。
今回は、基盤はダメージ受けていなかったのが幸いでした。
プログラムはアップデートありませんでした(2017/03)ので、そのまま基本調整&アダプテーション学習して終了です。
当店で修理したものは、ある程度保証つけてお渡しします。
ケース及びTCUにシリアル№がありますので、保証書に記載のうえ期間内に故障したものについては無償修理する方針で行きたいと思います。
まだ、現物修理の体制が整っておりませんので、整い次第発表していきたいと思います。
よろしくお願いいたします。