MKZ_FACTORY です。
お盆休みを利用しまして、書けるだけブログ書いていこうと思います。
H25 アウディA6 3.0 Sトロニックオイル交換 & 駆動系オイル交換 実施 いたしました。

距離は、51000km。2013年モデルということで、Sトロニック(通称0B5)は第2世代にマイナーチェンジしておりまして、オイルクーラー位置や細かい部品が変更されております。またバルブボディーがアップデートされていますので、少しは安心して乗れる世代のSトロニックです。
AudiA6 クワトロには、3か所に駆動系オイルが使われており
・Sトロニックオイル 75W-80 G052529A2
・Sトロニックギアオイル(フロントデフも兼用) 75W-85 G052513A2
・リアデフオイル 75W-85 G052145S2
と、純正オイルはそれぞれ別のオイルが設定されています。
成分の違いで純正オイル3種類設定がありますが、オイル粘度は比較的近いので、一部のオイルメーカーは同じオイルで兼用されているところもあります。
汚れという観点では、SトロニックオイルはATオイルと比較してクラッチの数が違うせいか、見た目ではそれほど汚れているように見えません.
トランスミッションギアオイルに関しまして、メーカーは定期的な交換時期は明確にしていませんが、Sトロニックオイルと比べまして汚れ方はひどいです。
特に、レンジセンサー不具合にyる故障が多発していまして、部品自体も2~3回品番改定がされています。
このレンジセンサーは、トランスミッションギアオイルを使用しているケース内にありますので、オイルの劣化によるセンサー故障や誤作動も否定はできません。
オイル交換することによるセンサー延命や、オイル無交換による部品の劣化等の因果関係はわかっていませんが、やはり油脂類も劣化はしますので、やるに越したことは無いと思います。
50000kmでギアオイルはかなり変色していますので、それくらいのスパンで交換お勧めしています。
リアデフオイルは比較的綺麗です。
汚れ=オイルの劣化 ではありませんが、ベアリングやギアの金属粉等不純物が多く含まれている観点から、定期的な交換が望ましいのではないかと思っています。こちらも、50000kmごとで十分かと思います。
駆動系のオイルはメーカーは無交換推奨が多いように思います。
”JALOS”という潤滑油協会いう団体がありまして、オイル製造メーカー側・消費者側(現場)での考え方の違いや、オイルの劣化とは何ぞやみたいな事を研究されている機関です。
キーワードは、”地球環境破壊”で廃油をいかに減らすかということと、ロングライフオイルの開発が非常に大きく関わっています。
ですが、それが車(エンジン)にとって良いかどうかは別問題と思っています。
私自身、まだ講習会には参加したことありませんが、いろんなオイルを取り扱いする上で今後講習会参加検討してみたいと思います。
当店では、Sトロニックオイル交換前に、一通り車両チェックいたします。
・走行テストし、現状のシフトチェンジの感触を知る 走行ログ取得する
・診断機にて、エラーのチェック 測定値 識別データーを保存
・プログラムのバージョンを確認
Sトロニックは比較的アップデートプログラムの更新がありまして、当店に入庫したアウディのSトロニックの半分以上はアップデートされていませんでした。
基本、ディーラー入庫時でもこちらから不具合箇所を言わない限り、不具合箇所に該当するECUのアップデートはしない方針と聞いています。
今回の車両は、以前にディーラー入庫経験がありましたので、Sトロニックは最新のプログラムバージョンでした。
診断機にて、プログラムバージョンを確認。

部品番号より、プログラム更新情報を確認。

最新になっていることを確認します。
まずは、リアデフオイルを交換していきます。 規定値は1.7リットルです。

手前がSトロニックオイル。奥がトランスミッションギアオイル。

奥のギアオイルのほうが汚れは酷いです。新油はほぼ同じ色しています。

オイルパンの中。マグネットにはそれなりの鉄粉が付着していますが、オイルパンには沈殿していません。
クラッチが2セットしかないので、7速や8速ATと比べてフルードが汚れにくかったり鉄粉が少ないのはこういった理由です。

オイルストレーナーと、フィルターです。
オイルストレーナーはオイルパン内部。
Sトロニックフィルターは外側についています。

Sトロニックフィルターを交換するためにハウジングキャップを外しますが、ここ数年でフィルターハウジングが破損してオイルが噴出して油圧が低下し、走行困難になるケース多く発生しています。
年式が新しい車両は、ハウジングキャップ&フィルター交換。
2012年以前のモデルの車両は対策品のハウジングキャップがありますが、ハウジングASSY交換推奨しています。
おおよそ2万円(交換工賃込み)です。
オイルストレーナー交換はいろいろ議論がありまして、ディーラーにてSトロニックオイル交換相談されたオーナー様の多くがストレーナー交換はディーラーでは推奨していないとの話を聞きました。
必要ないとの見解ですが、Sトロニックオイル無交換を言ってくるお店も何件か相談を受けています。
当店の見解は、
Oリングの劣化による油圧リークを防ぐための交換
です。

ストレーナーのOリングの劣化による油圧リーク
に関しまして、ZF6速(BMW アウディ ジャガー等)で採用されているミッションですが、このZF6速に使われるストレーナーのOリングの劣化による油圧リークが原因で、シフトショックが発生するケースがあり、メーカーからもある製造期間の車両で不具合が該当する車両は点検もしくはストレーナー交換を支持出している内容です。
このストレーナのOリングは部品単体では供給ありませんので、ストレーナー交換となります。
オイルストレーナーはミッションにはねじ等で固定されておらず、Oリングの弾力のみで止まっています。構造上抜けることはありません。
上記の理由で、予防整備のためSトロニック搭載車はすべてストレーナー交換を当店では交換しています。
交換後は、基本調整します。
これに関しましても、いろいろと議論はありますが、クラッチ交換やプログラムアップデート後に実施する必須項目で、Sトロニックオイル交換だけでは必須ではない項目ではありますが、学習は自動補正はしませんので定期的にしたほうが良いとの考えで、当店では必ず実施しています。
他にアダプテーション走行がありますが、これに関しましては学習条件がありまして、条件から外れると学習ができません。


アダプテーション走行はトランスミッションフルード温度が90度以内でしか実施できません。
これはメルセデスのDCTも同じで、夏場は特に条件が整わず学習実施が厳しいです。
アダプテーション走行は必須項目ではなく、自動初期学習する項目ではありますので、特に忙しいディーラーではよほどの理由が無い限り実施しません。
ある一定の速度条件で走行しないといけないため、地域によってはテスト条件が厳しい地域もあります。

秋~冬~春にかけて実施できますので、当店では夜中の車の少ない時間帯にて実施します。
今回は、すぐに高温になったため作業見送りました。
実際Sトロニックオイルは劣化しにくい(鉄粉が多く発生しない)ので50000km毎じゃなくてもいいのではないかという声もありますが、実際オイルはそこまで汚れていないのでオイル自体の劣化はそれほど無いと思います。
予防整備の意味合いが強く、Sトロニックのトラブル防止には
・定期的な基本調整
・最新のアップデート
・Sトロニック等消耗品の交換
ぐらいしかありません。
不具合発生は、大体5年から7年目以降で発生しているケースが見受けられます。
1年12000km・1ヶ月1000km走行が、平均的な走行距離かと思います。
覚えやすさから、5年毎もしくは駆動系のオイル交換推奨距離は50000kmでご案内しています。
・Sトロニックオイル
・トランスミッションギアオイル
・リアデフオイル
・オイルストレーナー
・オイルパンパッキン
が全車共通で、年式&車種に応じて
・オイルフィルタハウジングASSY
もしくは、
・フィルター&ハウジングキャップ
を交換しますと、おおよそ¥89000~¥100000が相場です。
このたびは、当店をご利用いただき誠にありがとうございました。