前頸部の痛みを訴えて受診される患者さんは結構多いです。甲状腺に痛みが出現する病気をご紹介します。

 

 頸部を強くぐりぐり押して、「押すと痛いんです」という方がときどきいます。首を強く押したら誰でも痛いので、強く押すのはやまめしょう。

 

・亜急性甲状腺炎

 痛みの出る代表的な病気です。甲状腺に炎症が起きることによって痛みが生じ、痛い部分はしこりのように硬く触れます。痛む場所が移動するのが特徴です。何もしなくても治る病気ですが、発熱や痛みを伴うので、通常は解熱鎮痛剤やステロイド剤で治療します。

 

・嚢胞内の出血

 甲状腺にできた嚢胞(液体の貯留した袋状のしこり)の中で出血を起こし、嚢胞が急速に大きくなって痛みが出現します。自然に軽快しますが、痛みが強いときは針を刺して内容物を吸引すると、痛みは速やかに軽快します。

 

 甲状腺が痛む原因の多くは、この二つの病気によるものです。

 2020年2月27日の記事で、チアマゾールの添付文書について紹介しました。

 

 そして最近になって、チアマゾールの添付文書変更を目標に、日本甲状腺学会がチアマゾール使用実態調査を始めました。ガイドラインに出されている治療方法が、添付文書記載の方法とあまりにかけ離れているためです。

 

 この調査結果を参考資料として、添付文書改訂を検討してもらうようです。

 

 いつになるのか分かりませんが、うまく変更されることを願います。

 私は福島県の病院で定期的に外来診療を行っているので、東北新幹線に乗ることが多いのですが、東北新幹線から富士山を見ることができます。東海道新幹線から見える富士山は有名ですが、東北新幹線からも見えるのです(少し小さいけど)。

 

 下り列車だと左の窓から、上野を過ぎて大宮までの間が良く見えます。冬の晴れた日でないとよく見えません。夏場はかすんでしまい、ほとんど見えません(しかも雪がないので富士山っぽくない)。

 

 

 

 

 

 冬に東北新幹線に乗る機会があったら、ぜひご覧ください。

 摂取率検査の時に、薬剤が取り込まれた部分を画像化することができ、これをシンチグラフィと呼んでいます。

 

 TRAbが陰性で甲状腺中毒症の状態が長期間続く場合、甲状腺内に結節(しこり)があるかどうかが重要です。結節が自律的に甲状腺ホルモンを産生する病気があり、機能性結節と呼ばれます。この機能性結節の診断には、シンチグラフィが欠かせません。超音波検査での結節の位置と、シンチグラフィの結果が一致すれば、機能性結節と診断できます。

 

 

これはバセドウ病のシンチグラフィです。黒い部分が薬剤の集まっている部分、つまり甲状腺が働いている部分になります。甲状腺の形になっているのが分かります。少しむらがありますが、部位によって厚みが異なるためです。

 

 

これは機能性結節のシンチグラフィです。甲状腺右葉に結節があり、そこに薬剤が集中しています。正常部分には集まっていません。

 

 

 摂取率検査やシンチグラフィは、専門病院や大学病院、放射線科があるような大きな病院でないと実施できません。当院もそのような設備はありません。ただし本当に必要になるケースはそれほど多くないので、当院も近くの大学病院などにお願いして実施してもらっています。

 甲状腺中毒症(甲状腺ホルモンが過剰な状態)を起こす病気の代表がバセドウ病ですが、バセドウ病診断でしばしば問題になるのが、無痛性甲状腺炎との鑑別診断です。

 

 バセドウ病は甲状腺からホルモンが過剰に産生される病気で、抗甲状腺薬による治療が行われます。

 

 無痛性甲状腺炎は甲状腺が破壊されることにより、甲状腺内に蓄えられていたホルモンが漏れ出てしまう病気で、自然に回復するため原則として治療は不要です。バセドウ病と間違われて、抗甲状腺薬を投与されてしまう患者さんがいますが、これは絶対に避けなければなりません。

 

 バセドウ病診断時の検査で必須なのは、TRAb測定です。ほとんどのバセドウ病でTRAbが陽性となるので、診断はそれほど難しくありません。しかしTRAb陰性のバセドウ病もあり、無痛性甲状腺炎との区別が難しい場合があります。しばらく様子をみて、甲状腺中毒症が改善すれば無痛性甲状腺炎と診断できますが、甲状腺ホルモン値がかなり高く、自覚症状も強いとなると、どちらの病気なのか早期に診断したいものです。こういう場合に甲状腺摂取率検査を行います。

 

 甲状腺に取り込まれる性質のある薬を投与して、その薬剤が甲状腺にどれだけ取り込まれるかを測定します。薬は放射線を放出するように作られていて、放射線を検出することによって取り込まれた割合(摂取率)が分かります。

 

 バセドウ病では甲状腺は活発に働いているので、摂取率は高値(あるいは正常)ですが、無痛性甲状腺炎では甲状腺が破壊されて働けない状態ですので、摂取率は低値となります。