前頸部の痛みを訴えて受診される患者さんは結構多いです。甲状腺に痛みが出現する病気をご紹介します。

 

 頸部を強くぐりぐり押して、「押すと痛いんです」という方がときどきいます。首を強く押したら誰でも痛いので、強く押すのはやまめしょう。

 

・亜急性甲状腺炎

 痛みの出る代表的な病気です。甲状腺に炎症が起きることによって痛みが生じ、痛い部分はしこりのように硬く触れます。痛む場所が移動するのが特徴です。何もしなくても治る病気ですが、発熱や痛みを伴うので、通常は解熱鎮痛剤やステロイド剤で治療します。

 

・嚢胞内の出血

 甲状腺にできた嚢胞(液体の貯留した袋状のしこり)の中で出血を起こし、嚢胞が急速に大きくなって痛みが出現します。自然に軽快しますが、痛みが強いときは針を刺して内容物を吸引すると、痛みは速やかに軽快します。

 

 甲状腺が痛む原因の多くは、この二つの病気によるものです。