手袋が買えなくて困っています。値段も高くなっているようです。マスクは容易に入手できるようになり、消毒液も徐々に買いやすくなっていますが、今度は手袋が入手困難となっています。普通のビニール手袋も買いにくいのですが、最も困るのがニトリル手袋という薄い手袋が品薄状態なことです。

 

 当院ではほとんどの患者さんに血液検査を行います。採血時に血管が細くて見えにくい患者さんでは、指で血管の走行を確認する必要がありますが、厚みのある手袋だと血管の感触が伝わってきません。だからといって今時、素手で採血するわけにもいきませんよね(昔は平気でやっていましたが)。

 

 新型コロナウイルス拡大のため、世界的に手袋の需要が高まっており、入手しにくいのだそうです。当院はいろいろな経路から在庫情報を調べ、今のところは何とか足りていますが、今後どうなるか分かりません。ネットで在庫情報を頻繁に確認する作業がまだまだ続きそうです。

 甲状腺の病気に限ったことではありませんが、治療方針が複数ある場合、治療法の選択をしなければならない場合があります。

 

 甲状腺の病気だと、微小癌や良性結節の治療方針の決定のときに、手術にするか、あるいは経過観察するかという選択をする場面が多いかと思われます。

 

 治療方針をどうするか、我々医師の立場からすると、患者に決めてもらうのが一番楽です。医師から、「手術か経過観察か、よく考えて(相談して)きてください。」と言われて帰された経験のある患者さんも多いのではないでしょうか。

 

 でもなかなか自分では決められないですよね。そんな時、「先生が患者だったらどうしますか?」と聞くのが一番いいと思います。

 

 私の場合ですが、手術か経過観察かの選択肢を提示したら、何となくどちらかに誘導するような説明をするように心がけています。「私(や自分の家族)が患者だったら」が前提での誘導です。

 バセドウ病などで甲状腺ホルモンが過剰な状態になると、血中甲状腺ホルモン値が上昇しますが、異常値をきたすのはホルモンの値だけではありません。実はいろいろな検査値に影響を与えます。

 

 血中コレステロールが低下します。コレステロールが肝臓へ取り込まれるのを甲状腺ホルモンが促進することが主な原因のようです。

 

 血中アルカリホスファターゼ(ALP)が上昇します。甲状腺中毒症によって骨代謝が亢進すると、骨粗しょう症ぎみになります。そのため骨由来のALPが上昇することになります。血中カルシウム値がやや高くなることもあります。

 

 甲状腺ホルモンの肝臓への作用により、ASTやALTが軽度上昇することがあります。

 

 腎機能検査の一つであるクレアチニン(Cr)値が低くなることがあります。Crは筋肉で産生されます。甲状腺中毒症によって筋肉量が減ってしまうので、Crの産生量が減少、血中濃度が低下するようです。ちなみにCr値は腎機能障害があると上昇します(「血中濃度が低くなる」は「腎機能低下」ということではありません)。

 

 白血球数が少ない患者さんを時に見かけます。この理由についてはよく知りません。

 

 これらの異常値は、基礎疾患がなければ甲状腺中毒症の治療とともに改善します。

 

 甲状腺機能検査の結果が出るのは少し時間がかかるので、甲状腺ホルモン値よりも先に白血球数、肝機能や腎機能検査などの結果が判明します。コレステロールが低い、AST・ALT・ALPがやや高い、Crが低め、白血球数が低いなどの所見があると、甲状腺中毒症を予想できたりします。

 

 もちろん個人差がありますので、すべての患者さんで異常値になるとは限りません。どれだけの期間、甲状腺中毒症が続いていたかによっても変わってくるでしょう。無痛性甲状腺炎などによる一時的な甲状腺中毒症では、異常値を示すことが少ない印象です。

 先週、安倍総理大臣が辞任の意向を表明しました。持病の潰瘍性大腸炎の悪化などが原因とのことです。やはりストレスが原因でしょうか。国のリーダーですから、ものすごいストレスですよね。これほどストレスのかかる仕事は他には思いつきません。

 

 甲状腺の病気を発症して、現在の仕事をやめなければならないのかという相談を受けることがあります。仕事の内容にもよりますが、多くの場合、仕事に支障が出ることはありません。

 

 仕事に支障が出そうな甲状腺の病気は、バセドウ病と悪性腫瘍でしょう。

 

 バセドウ病によって甲状腺ホルモン過剰状態が続くと、頻脈、動悸、発汗過多などの症状が出現します。また、常に緊張状態となるので、物事に集中できません。しかし、バセドウ病の多くは薬で甲状腺機能をコントロールできますので、仕事ができない状態になったとしても短期間の休職で済むことが多いと思います。

 

 悪性腫瘍の多くは乳頭癌です。乳頭癌はとてもおとなしい性質ですので、直ちに命に関わることはほとんどありません。治療は手術のみで済んでしまうことが多く、追加の治療は必要ありません。再発の危険性が高いと判断されると、術後の追加治療として放射性ヨウ素内用療法(アブレーション)を行う場合があります。外来でも可能ですし、入院で行ったとしても数日間ということがほとんどです。

 

 甲状腺癌で遠隔転移がある場合、放射性ヨウ素内用療法を繰り返し行う必要があります。繰り返すといっても、半年から1年ごとですので、治療のために仕事を辞める必要はなさそうです。

 

 難治性の進行、再発甲状腺癌に対し、新しいタイプの抗がん剤である分子標的薬による治療が行われています。分子標的薬は大変良く効くのですが、副作用が多いため、頻繁な通院、検査が必要です。そのため日常生活や仕事に支障が出る場合があります。もちろん治療を受けながらお仕事をされている患者さんもいますので、担当医とよく相談してください。

 

 いずれにしても、自分だけの判断で仕事を辞めてしまうことは避けるべきです。職場や担当医と相談することをお勧めします。