首に違和感がある、異物感がある、のどが詰まる感じがする、のどに物が引っかかる、痰がからむ、と言って、甲状腺が原因ではないかと来院される患者さんが多いです。

 

 以前にも記事にしましたが、甲状腺疾患が原因で首に違和感が出現する、ということはほとんどありません。はっきりとした痛みが出現する病気はもちろんありますが、何となく違和感がある、という症状は起こしにくいのです。亜急性甲状腺炎では、明らかな痛みではなく、違和感程度におさまることはあるようです。また、よほど大きな腫瘤が甲状腺にできていれば、物を飲み込んだ時に違和感が出現することはあるでしょう。それ以外で症状が出現するような状態は思いつきません。

 

 首の違和感、詰まる感じなどの症状が気になる場合は、まずは耳鼻咽喉科でのどの奥を診てもらってください。細いファイバースコープで確認してくれるはずです。物が引っかかるなどの症状がある場合は、消化器内科で上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を受けるのもいいでしょう。特に異常を指摘されない場合に、次の段階として甲状腺を診てもらうといいと思います。

 

 ところで、甲状腺の位置を誤解している患者さんが多いようです。性別や年齢などによっても異なりますが、基本的に甲状腺は鎖骨のすぐ上、幅は4~5cm程度の臓器です。ときどき顎のすぐ下や、首の横の方を触って甲状腺が腫れている気がするという方がいますが、そこは甲状腺が存在する部位ではありません。

 甲状腺手術後、頸部にさまざまな症状を訴える方が多いです。残念ながらこれはどうしても避けられないことです。

 

 首を絞められている感じがする、のどが詰まる感じがする、飲み込みにくい、飲み込んだ時にひっかかる感じがする、痰がからみやすくなった、という訴えが多いようです。

 

 何年もすると慣れてきて、徐々に気にならなくなるようですが、何十年も症状が変わらない、術直後はよかったのに何年か経ってから気になるようになった、という患者さんもいるようです。

 

 甲状腺手術は皮膚をめくり上げて行われるので、その領域の皮膚の感覚が鈍くなります。また、一度手術操作が加わった部位は、組織同士がくっついてしまう(癒着といいます)ので、ひきつれたような感覚になって、さまざまな症状が出現します。飲み込み(嚥下)に関わる細かい神経も障害されるので、飲み込みにくさも出る場合があります。

 

 これらを防止する方法はなかなかないのですが、術後早期から積極的に首を動かして、リハビリ運動をするのがいいかもしれません。また、のどの違和感に効くとされる漢方薬が処方されることもあるようです。

 

 術後には頸部に必ずと言っていいほど何らかの症状が出現します(もちろん程度の差はありますが)。したがって、甲状腺にしこりがあってその違和感が気になるので手術をしたいとお考えの方は、手術するかどうかをもう一度よく考えがほうがいいと思います。実際には手術してみないと分からないのですが、手術後の方がむしろ違和感が強い、などということがあるかもしれません。

 大阪府知事が、「ポビドンヨードでうがいすることによって、新型コロナウイルス感染者の唾液からウイルスの陽性反応が出る頻度が低下した。」という研究を発表していました。そして府民にうがい薬の使用を推奨していました。

 

 この発表を受け、早速うがい薬の品薄が発生。また、当院通院中の患者さんから、ポビドンヨードを使用してよいのかという問い合わせがありました。

 

 実は患者さんからの問い合わせを受けた時、この大阪府知事の発表のことは知りませんでしたので、なぜポビドンヨードについての問い合わせがその時続いたのかが分かりませんでした。

 

 この研究は論文として発表されたものではなく、信頼度は低いと思われます。現時点ではポビドンヨードの使用は、以前のブログで記事にした通り、避けるべきだと考えます。

 

 昨日、あるドラッグストアの前を通ると、「うがい薬は完売、入荷未定」という貼り紙がありました。きっとどの店も同じなのでしょう。かつて誤った情報によって店からトイレットペーパーが消え、免疫力が高まるといってスーパーから納豆が消えたくらいですから、知事という責任ある人がうがいを推奨すれば、みんなうがい薬を買いに走りますよね。

 

 後に「うがいに予防効果があるとは言っていない」と知事は発言。確かに言っていませんが、みんな新型コロナウイルスを怖がっているのですから、冷静に判断できずに混乱が起こるのは容易に想像ができます。結論が出ていない中途半端な段階で発表すべきではなかったのではと思います。

 熱がある、微熱が続くなどで、甲状腺の病気ではないかと相談されることが最近多くなっています。

 

 発熱する甲状腺疾患はもちろんあるのですが、かなり少ないと思ってください。ですから熱があったら、まずは風邪か新型コロナウイルス感染症を疑って、一般の内科で相談してください。

 

 発熱する甲状腺疾患の代表は亜急性甲状腺炎です。かなり高い熱が出ることもあります。ほとんどの場合、甲状腺に痛みが出現するので、比較的発見はしやすいかと思われます。

 

 かなりまれではありますが、急性化膿性甲状腺炎という病気も発熱します。甲状腺の細菌感染による炎症で、亜急性甲状腺炎と同様に痛みが出現、甲状腺近くの皮膚が赤く腫れたりもします。

 

 バセドウ病による甲状腺中毒症でも発熱する場合があります。特に甲状腺クリーゼといって、全身に重篤な症状を呈する状態になると、高い熱が出ることがあります(発熱が診断基準の一つになっています)。

 

 甲状腺腫瘍でも発熱する場合があります。甲状腺リンパ腫、未分化癌が有名で、いずれも急速に増大する腫瘤が特徴です。

 

 以上の病気、お気づきだと思いますが、発熱以外に何らかの症状が出現します。熱だけがあるという甲状腺の病気はほとんどありませんので、発熱だけの場合は甲状腺疾患以外を考えた方がいいと思います。

本日から新しい超音波検査装置、キヤノンメディカルシステムズ社製「Aplio i800」か稼働しています。

 

 

かなり高性能な装置です(甲状腺だけに使うのはもったいない?)。

 

このブログで何度も書いていますが、甲状腺の画像診断において、超音波に勝るものはありません。これからも正確な超音波診断に努めてまいります。

 

全く関係のない話です。「キヤノンメディカルシステムズ」はもちろん「キヤノン」の関連会社ですが、読み方は「キャノン」でも、表記は「キヤノン」(大きい「ヤ」)だって知っていましたか?

 

さらに関係のない話ですが、マヨネーズでおなじみの「キユーピー」も、表記は大きい「ユ」なのです。