雪だるま 105
老いてなほ母に意地あり福寿草 加藤 静子
居酒屋が好きなんです。暖簾をくぐり、はい今晩は。ななさん御
見限りね。ママさん、今夜もお綺麗でほれぼれしますよ。ほれてく
れるなら、たまには来てよ。ママさんに来てほしいといわれちゃ毎
晩来ようかな。バカいわないで、なににする。まずは、ビールにし
ようかな、サントリーある。あるわよ、はいサントリーのビール。
ビールを一口飲んで、なにか美味しいものあるかな。メバルの煮
付けがあるわよ。じゃ、それをもらおうか。このメバル大きいね。こ
れだけ大きいとだいぶ沖に行かなきゃ取れないよね。うまいや、マ
マ、焼酎くれる、薩摩白波ね。いまもっていくから。ママ、イカ刺あ
るかな。イカ刺ね、ちょっと待ってね。焼き鳥も焼いてくれる。ハイ
ハイ。このイカ刺、こりこりして美味いね。焼酎お代わりー。焼き鳥
は熱くなくちゃね、冷えると硬くなるからー。うまいうまい、お酒も進
むね。このへんで、御酒お燗してくれる。ぬるめでいいや。煮込み
が食べたいな。ハイ、煮込み、熱いわよ。ママさんの煮込みは最
高だな、お酒もうまいや。もう一本飲もうかな。同じのでいい。うん、
同じでいいよ。から揚げもらおかな。いい気持ちだ。肴も美味いし、
ママさんは美人だし、最高だね。あら、はなさんご機嫌ね。お世辞
を言ってもだめよ、こんなおばあちゃんをからかっても何も上げな
いわよ。お世辞じゃないよ。酔うとママさんが綺麗に見えるのさ。
そう、後何にする。湯豆腐食べよかな。あれ、雨のようだねーー