野良猫 798
枯れ木がひかる わたしの中の風と雪 富澤 赤黄男
読書の醍醐味は、なんと一冊の本によって、人間の人間の人生観
を変えてしまうおもしろさと、あるいは恐ろしさをもっているということが
いえるといえる。
ぼく、いまイギリス貴族について書いている本を読んでいるが、はな
はだ驚くばかりである。
まず彼らは、働かない。指いっぽんを動かすことすら忌み嫌う。ひた
すら全てを使用人にさすのだ。料理、洗濯、掃除、なにもかも使用人
にさすのである。なにもしないことが、彼らにとっては幸福なのである。
朝は、ベットのなかで紅茶を飲み、あとはひたすら読書にはげみ、夜
は友人とお酒を飲んだりゲームを楽しむ。
これを知って、ぼくは驚いてしまった。これでは、ぼくの生活と瓜二つ
ではないか。イギリス貴族の理想とする生活が、なんとぼくちんの生活
と同じなんて恐れ入った。
ぼくは以前から、ぼく自身の生き様、越し方につき、はなはだ疑念を
い抱いていた。もっと行動を起こさなければいけないのじゃないのじゃ
ないのだろうか。世界中を行かなければならないんじゃならないんじゃ
ならないのではないか。だが、なんとイギリス貴族は、何もしないことが
理想なんだ。いやはや驚いた。文化というものはさまざまなんだなあ。
ぼくのようなつまらない生活が、なんとイギリスの貴族にとっては理想の
生活だなんて、ほんとかな、驚くばかりである。