豚のしっぽ 675
冬の街かなしきはかの鳥屋の店 三橋 鷹女
毎日、同じような生活を送っていると、なんだか面白くないよね。
かと言って、はらはらどきどきするような生活も、その中身しだい
だけどしんどいような気がしないでもない。ようするに人間って云
うか、ぼく自身なんだけど、勝手なもんだよね。
何かが起こってほしい気持ちと、なにも起こらないでほしい気持
ちが、相半ばするんだよね。自分ながらあきれてしまうんだけど、
人間存在そのものが矛盾を孕んでいる気がする。矛盾だからこそ
生きることが迷路を通りぬけるような、あるいは、一本の張り巡らさ
れたロープを綱渡りするようなと、比喩ができそうな気がする。人生
が死に至る平坦な一本道だとすると、おそらくは発狂してしまうにち
がいない。
映画のこと、ジャズのこと、小説のこと、いろんなことを、誰かと話
をしたいな。ぼくの周辺には、そんなことを話す相手がおりません。
みんな仕事が忙しく、ぼくの話し相手にはなってくれません。だから
ぼくは、もうひとりのぼくとお話をします。もうひとりのぼくは、ぼくの
考えには、決して同意をいたしません。かならず反対の意見をいい
ます。したがって結論はでません。はてしのない議論に終始するの
です。お互いに、適当なところで妥協すれば、おだやかに笑って終
わるのですが、ずっと妥協しないものだからエンドレスの議論にな
ります。これもこまったことです。