西瓜と夏みかん 501
久しぶりに開高健が読みたくなって、県立図書館
に行って全集を探したが、全集はみあたらず、おそ
らくあまり読まれないので倉庫にあるようだ。
こんなことはよくあるのだ。次々と新しい作家が現
れるので、本を置くスペースが足らなくなり、読者の
少ない全集は倉庫のほうにしまわれるのである。こ
の間まで開高健全集はあった。それは間違いない。
開高健は好きな作家である。全集の半分は読んでい
るはずである。全部読もうと思えばとめたであろうが、
お楽しみは残しておきたいものだ。この体で色川武大、
高橋和巳、福田恒存、などの全集が倉庫に眠った、ま
まにしているのは少し、いや大いに悲しくて、そして寂
しい。
人間に限らず、命あるものは必ず死ぬ。これは恐ろ
しいことのようだが、逆に永遠の生命をもつ、不滅の
生き物として生きなければならぬとすると、こちらのほ
うがはるかに恐怖である。老いて、また病になっていっ
か死ねるから、生きてるうちにしたいことをし、心置きな
く生きようとする意欲が生まれるのだと思う。
ぼくは趣味が少なく充分に生を堪能しているかどうか
は判然としないが、出来うる限りの本を堪能したいと思
っている。これがぼくのささやかな喜びである。