鞠と猫 403
向田邦子のことをブログでよく書くのは、われながらも
いささかあきれはててしまうが、それほど向田文学にほ
れこんでいるのかと、再確認したのであるが、向田に触
れ、武田百合子を書かなければ片手落ちと言わねばな
るまい。
武田百合子と聞いて、ハイ知っていますよ、と言える
方は少数であろう。武田百合子触れる前に、まず戦後派
について書かねば成るまい。
戦後派作家というのは、敗戦後すぐに作家活動に入っ
た作家達で、野間宏、椎名麟三、梅崎春生、武田泰淳、
花田清輝、埴谷雄高、などをさすのであるが、武田百合子
は、お察しのとうり武田泰淳の連れ合い、つまり妻である。
武田泰淳は、ひかり苔、富士、快楽などスケールの大
きな作風と、めまいのする散歩など洒脱なエッセイなどを
物にし、近代文学に対する貢献は大きなものである。
方や、妻の百合子さんもまた作家で、富士日記や犬が
星見たーロシア旅行記、ことばの食卓、などの作品があり、
世評高く評価され田村俊子賞、読売文学賞などを受賞して
る。
ぼくも武田百合子さんの作品はほとんど読んでいるが、
特に富士日記は絶品で、何度読んでも飽きない。明るくて
しかもどくどくの視点で森羅万象を見ている。
百合子さんの人柄に魅せられた多くの作家、出版社の人
々は枚挙がないほどである。その上、ものすごい美人なの
である。正確に言えば美人で可愛いのである。この辺の処
は、直木賞作家の村松友視の「百合子さんは何色」に詳し
い。武田百合子に会いたかった。