鞠と猫 402
生まれた、つまり生命を得たからにゃ、死も得る
ことになる。これは太陽が東から出て西に沈むよ
うなことで至極当然のことなのだが、なかなか合
点のいかぬことなのである。つまり死とは太陽が
西の地平線に消えていくような、しごく当たり前な
出来事に過ぎないのであるが、死んでいく当人に
とっては人生の一大事になってしまうのは、死ぬ
のはなんと一回にすぎないからである。これが何
度も死ぬのであれば、ちょっと近所のスーパーへ
買い物に行くような気分で死を迎えれるだろうが、
なにしろ初めてのものだから、うろたえためらい、
さらに恐れるのである。したがって、あまたの宗教
哲学においてすら、死をいかように捉えるかに思
案して、さまざまの解釈をしたものの、わかったよ
な、わからないような、あいまいな按配で、やはり
死への恐怖はぬぐいがたい。やはり死を畏怖しつ
つ、かつ羨望も加味しつつ生きねばならぬのかー