_ 鞠と猫 357
ミネルヴァの梟をご存知であろうか。古代ギリシャの
アテネの近くにはミネルヴァの森があった。この森には
梟が住んでいて、夜になって森が暗くなると、梟が飛び
立って、夜道を照らしたという。つまり知識の象徴である
梟は夜になって活躍する、ということである。
ドイツの哲学者ヘーゲルがその「法哲学」の序論に
哲学や学問と現実との関係に触れて、「ミネルヴァの梟
は日が暮れて初めて飛ぶ」と書いていることは有名で、
「ミネルヴァの梟」=「哲学」として使われている。
だが、法哲学を精査して読めば思いもよらぬ解釈が
生まれる。哲学は現実の成熟のあとに遅れてやってくる
ものであるということ。現実が完成されてのちに、はじめ
て観念の王国、知の王国、哲学の王国が建設されるとい
うというらしい。
思い込みで軽々に解釈すれば真逆の意味を手に入れ
るといういい見本である。心せねばなるまい。