春と修羅 291
ぼくの知人で学生の頃、県外でだがホストしていたと言
う奴を知っている。当時そいつは三十歳過ぎだったが、体
重が百キロ近く、しかもカツラだった。ご面相も、丁度とどが
あかんべーをしたような感じて、頭もお世辞にもよろしいとは
言いがたい奴だった。そのへんの謎を追求してみたい好奇
心に駆られたが、ケンカが強そうなので訊くのを止めた。
そんなことを忘れてしまったころ、とある食堂でトンカツ定
食を食しながら、店の週刊誌をのぞいていると、奇妙な記事
にふと眼が止まった。なになに、ぶすでもホストはつとまる。
と言う見出しで内容はつぎのごとし。
ホストが男前でなければつとまらないということは間違い
である。たしかに男前のほうがお客の指名が多いが、だから
といって売り上げが多いとは限らない。要するにお金をもった
ふとい客を持つか否かなのである。お金のないぺえぺえの客
を多数持っても売り上げは伸びない。人数は少なくても金持ち
の客を多く持ったほうがナンバーワンホストになる。えてしてそ
んなふとい客はぶす好きがおおいらしい。美形の男と遊ぶの
に飽きたお客は、話が面白い愛嬌のあるぶす男にやすらぎを
感じるのだろう。
そういえば、かく言うぼくもぶす好きだ。但し。おなごに限る。