_ 阿弥陀仏と菫 264
推敲の意のみならず、この言葉のよってたつ故事をご
存知だろうか。
漢字の面白さと、奥深さは白川静の偉大なる仕事、字
統、字訓、字通、でつとに有名ですが、白川博士の仕事か
ら学ばなくても、不遜にも、わが枕たる広辞苑を紐解けば、
仔細はともかく概略はほぼ分かる。
広辞苑では推敲はこうある。唐詩紀事、唐の詩人カ島が
「僧推月下門」の句を得たが、「推」を改めて「敲」にしようか
とまどって韓愈に問い、「敲」の字に決したと言う故事による。
噛み砕いて言えば、カ島のカの字が変換で出ないのでカ
で許してもらうが、「鳥は宿す池中の樹 僧は推す月下の門」
という句を考えたが、「僧は推す」は「僧は敲く」とした方がよい
ように思いあぐねて、韓愈に教えをこうた折、韓愈が「敲く」が
よい、と判決を下した。
よって、詩文の字句をなんどもねり直すことを、推敲という。