_ 幻視と政治 106
不況と言われてどれほどになるだろうか。今年成人にな
った方は好景気を味わうことなく大人になったようだ。
かく申すぼくは、なるほどバブルの時代をくぐってきたが、
恩恵はなにもあやからず、単なる人事であった。
あの時代、ぼくの周辺にもバブルに浮かれている人が何
人かいたが、あの人たちは今何処に行ったのか。行方不明
である。わが世の春を謳歌したが、おごれる平家久しからず、
だったようだ。バブルなんかそんなに続くものか。金銭感覚が
狂って自滅してしまつた。それがよかったか、あるいは悪かっ
たのかは、意見が分かれるであろう。
ぼくがバブル成金になったことを想像してみようか。車はベ
ンツ。スーツはアルマーニ。靴はヘラガモ。時計はロレックス。
下着はユニクロ。靴下はビッグ。お昼は吉野家。ケバイ女をと
っかえひっかえ。毎夜クラブへ行ってカラオケでカスバの女を
熱唱し、とここまで夢想したが、あまりのおぞましさにげんなり
し、似合わないことおびただしいばかりである。