突破者 14
アレとはなにか。賢明なる皆様におかれては、アレが
アレであることを、おそらくほとんどのかたが推察されて
いるであろう。しかるがゆえに、ぼくとしてはいまさらアレ
の実名をさらけだす愚挙をおこなおうとは思わない。あか
らさまにしないことによってますますアレの神秘さがます
のであり、こんごますますアレが人類の発展に奉仕する
ことを祈ることにすろ。ぼくは飽きた。もういらん。
さて、話が変わるが、わが故郷徳島の鳴門という処に
アソコというけしからぬ名称の店がある。ご存じであろうか。
ぼくは初めて聞いたとき、当然頭の中にアソコが浮かんだ。
なんと恥知らずな店名をつけたものかと訝った。そしてアソ
コというからには、アソコが一杯店に並べられていると想像
した。しかしぼくの想像たるやチンケなもので、そういう店が
成り立つのか、はなはだ疑問に思えるのだった。もう一つ疑
問が点滅した。アソコはどちらのアソコなんだろうか?この
疑問にぼくは身もだえした。疑問をとくべく、くだんの店を訪
問することにした。さぞやけばけばしき店であろうや、と思い
きや、さにあらず。なんともないフツーの食堂なのだ。
店名に偽りあり。アソコがないではないか。テーブルの上に
は沢山の魚の煮つけやら、焼き魚が並べられている。これ
は異な光景である。店の店主であろう、おじいさんとおばあ
さんがニコニコと笑っている。この二人のアソコなんか見た
くない。アソコはどこにある。ふと見るとテーブルの片隅に焼
きアワビが置かれていた。なんだ、このことかと思った、アソ
コがあった。