独り言    6月9日 | はなのブログ

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          天国への階段    9

  苦難と栄光の歴史。なんて書くと、古色蒼然たる

キヤッチコピーになるが、京大は平成23年創立11

4周年を迎えた。官僚養成機関に堕した東京帝国大

学に刺激を与えるため、いや、東京遷都後の京都の

不平分子を吸収するのがねらいともいわれる。それ

はともかく、京大の歩みそのものは、つねに青春の息

吹に満ちていた。その流れに開花した学術・文化の花

は、京都・関西はもちろん、日本全土をうるおしたと

ってもいいだろう。

  高橋和巳は一見、繊細なインテリー・タイプだが、の

っそりとした長身からは、坊ちゃんムードも漂う。京大

在学中、破防法反対ストで学友が処分されかかったの

にハラを立て、ハンストを5日間も続けたことがある。反

骨精神に富んだ人物だ。ドストエフスキーに感激、埴谷

雄高、野間宏、椎名麟三、大岡昇平ら、いわゆる戦後派

の作品を読み漁り、その集積が創作活動のきっかけを

作った。

 京都が、文学不毛の地と言われてから久しい。京都を

舞台にして書かれた作品は多いが、京都を描き切った作

家はいない。あまりにも屈折の多い京都人の性格や、極

に人工のくわえられた自然を描くには、エトランゼの目

感傷的すぎるのだ。そんな意味で地元に根を張った高

橋和巳のような存在がまたれるのである。