独り言   5月21日 | はなのブログ

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         隅田川    1

 去る日のある日の事である。ぼくはおおよそ、午前中

は難し系の本を読むことにしている。例えば、哲学、宗

教、経済、政治などである。脳の働きはそのほうが快調

であり、理解も進むみたいだ。お昼を食べて満腹になる

と、軽い読み物にする。歴史、俳句、詩集、ノンフィクショ

ンなどを読んでいると次第に微睡だし眠ってしまう。一時

間ほど浅い眠りをして目覚める。脳はまだぼんやりしてい

て、ぼく自身どこにいるやら気づくのに何秒かがかかる。

 一日に何も考えずに脳を空っぽにする時間を10分ぐら

いつくることを心がけている。その時は風景を見ることも

あるけど、犬とか猫、子供、行きかう人々なんかを漠然と

なにも考えずに、ただ見ているだけ。こんな時間がだい好

きなのである。だけど何か気にかかることがあったり、心

配事があると、決して脳の中が空っぽにならない、うまく空

っぽになれたら、嬉しいのだが、その嬉しい感情すら脳か

ら排除できれば最高なのである。

 それからやおら小説を手に取り栞を抜いてページを開き

読みだす。最近は永井荷風、樋口一葉、坪内逍遥、森鴎

外、泉鏡花、内田百閒などをよく読む。譯はわからない。

なんとなく心地よいのである。荷風の墨東綺譚を読んだ

時など、思はず紙背のなかにのめりこんでしまった。これ

が小説なんだ、と思った。物語に出てくる人々がみんな生

きている。これでなくっちゃ、とガテンした。