祇園と干し柿 7
今朝は格別寒気に打ち震えて、ぶるぶる状態であり
まする。ぼくといたしましては、思わぬ敵の襲来にてん
やわんやの心中をもてあましている。さりながら、これ
っきしの寒さなどなんぼのもんじゃ、と言ういささか勇夫
し気なる精神をもちあわせてもいる。すべからく四季の
到来にあたふたと戸惑うべからず。平常心とやらで迎
え歓待すべし。季節のおりおりの特質を味わい堪能す
る心の余裕をもちたいものである。
話がそれるが、食い物の恨みは意外におおきい。否、
意外と言うよりも、ことのほかなる言葉を使用するほう
がこの場合適切かもしれない。話はほかでもない、ぼく
が体験した事実なるがゆえに、うたかたのごとき話では
ない。
さる過日、ぼくは極上のバッテラを購入して家に持ち帰
った。ぼくはバッテラが好物であるのみならず、家族もまた
バッテラが好きなので、よくおみあげに買って帰るのである
が、その日は、夕食後であるにもかかわらずほかのものた
ちが、バッテラは別腹と食べてしまつた。ぼくは晩酌をする
ので、お酒を飲む前に胃を膨らましたくなかったので、五個
を冷蔵庫に遺して翌日たべるつもりであった。このへんで話
の展開がおわかりになってきたのせあろうので細かな経緯
は端折るが、そうバッテラが翌日消えたのである。おそらく
は妻の腹中で消化されたものと推察されるが、証拠もない
のに難詰すればえらいこととなる。煮えたぎる憤怒を秘か
に胸中に包み、仇をとるべく思案を練っている今日このご
ろである。