独り言  4月13日 | はなのブログ

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        驟雨と毬   4

 秋風庭樹を騒がすこと頻なり。阿波のかのち脇町とやらに、

われ一人広大な邸内に寝そべりて本を読まんとす。手にする

本は幸田露伴なり。ページを開けば風流仏なる活字が目に

飛び込む。なになに、三尊四天王十二童子十六羅漢さては

五百羅漢までを胸中に蔵めて鉈小刀に彫り浮かべる腕前に、

とここまで読んで本を投げ出した。実に面白くない。あァやめ

たやめた、本なんかちっとも面白くない。退屈なので眠る事に

しょう。お客さんが来たら起こしてくれるだろう。すやすやー

 目が覚めたらぼくは東京の世田谷区瀬田の学生下宿にい

た。起きたとて何もすることはない。近くの多摩美にでも行っ

てナンパでもしょうかな、と思ったがこの間の失敗を思い出し

た。

 半月ばかし前の事である。美大生を装ってミニスカートに声

をかけた。芝生に二人座って雑談をしていて、彼女から池田

満寿夫の感想を訊かれた。訊かれたってぼくにはわからない。

でも何とか言わなくてはならぬ。「あのさ、ぼく新興宗教のこと

詳しくないんだ」と言うと「あなた最低ね」と言われて去って行っ

た。ぼくは悄然として彼女の後姿を見送った。彼女が後に歌手

になったのではないかとテレビを観ていて気付いた。

 おじさん、起きてよおじさん。の声にぼくは目を覚ました。お客

さんだ。「おはようございます」ぼくは寝ぼけ声で挨拶をした。