鰻と犬 15
おはようごんすけ。今朝はひんやりして秋まっただ
中どすなァ。月並みどすけど、秋はなにやらうら寂し
く人恋しい季節でおまん。読書も長編小説よりかリ
ルケなどの詩集なんかが読みたくなる。読みたくな
るばかりか、ふと学生の時読んだリルケ詩集の一
節、それとも僕自身早春の寒さに震える一本の白
樺の木なのだろうか、が脳裏に浮かんだりしてしま
う。
話がとぶが、フロイトによると人間の精神は自我
と超自我と無意識からできているらしい。ぼくの畏
敬する岸田秀氏によれば自我と超自我を足して、
人間の精神を自我と無意識の二つにわけている。
ご存じ、自我とは私自身が自覚している私であり。
無意識は、私自身の精神の大部分にもかかわらず、
私が認識できていない私である。いわば私の闇の部
分なのである。夢などはこの無意識がなせる仕事で
あり、時々自分の過去を振り返り、どうしてあんなこ
とをやらかしたのか訝しき気分に襲われた時、それ
は無意識のエネルギーが発動した結果である。自
分のなかには、自分が認めたくない忌まわしき巨大
な欲望が自我を揺り動かしているんだじょ。