独り言   4月3日 | はなのブログ

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       鰻と犬   14

 今日の仕事は、残暑が邪魔してつらかった。じっと

していても汗が目に入り、ハンカチでぬぐってもぬぐ

っても絶え間なく汗があふれ、体内の水分がなくなる

のではないかといった心配が脳裏を一瞬よぎった。

 ぼくは仕事は嫌いではない。労働の喜びなんても

のはさらさらもちあわせてはないが、働いたあとの

心地よい疲れはなにものにも代えがたい。古の偉

人はこのような心理状態を、ぼくの記憶違いでなけ

ればかるみ、となずけていたと思う。太宰治の本の

なかに書かれていた。

 かるみであってはるみでない。なんだか都はるみ

に似ているが、かるみなのである。わび・さび・しお

り、そしてかるみなのである。

 芭蕉が創作した最高の概念らしい。働いて働いて、

もう欲も得もない心の状態をかるみと、そう芭蕉はな

ずけた。

 今日ぼくはかるみを経験した。残暑のなかのたま

らない労働の中で、崇高なる賢人が発見した概念、

かるみをありがたくも体得させていただいた。ギャラ

を頂くよりも、むしろ授業料を差し上げたい気持ちで

あるが、それはレトリックで、やはりギャラは無情に

も頂く。それが常道である。