鰻と犬 3
知り得るならば宇宙の総て、何もかも原子、電子
あるいは量子にいたるまであらゆることが知りたい。
知ってどうなることもないけれど知ることが目的なの
である。
こんな願いは不可能なのはわかっているのだが、
すべてあますことなく知りたいのである。これがぼく
の希望なのだからしかたがないのだ。
こういう欲求が強くなったのは最近である。これは
ぼくに残っている時間が少なくなったということを物
語っているのであろうか。
若かりし頃は、知識は手段であった。何か目的を
手に入れる手段としての知識だった。知識そのもの
を得る喜びなんか皆無であった。ところが最近は逆
転をしてしまい、手段としての知識には関心が薄く、
もっぱらどうでもいいことを初めて知って、それがと
んでもなく嬉しくて楽しい。役にたたなくていいので
ある。今まで知らない事を知ることがこんなに満足を
覚えるなんて、新鮮な驚愕である。
どんなにつまらい事でも、知らなかったことを知る
ことは自分自身が成長することである。そうだじょ。