流転と啓示 30
投資の拡大で所得が増えると、消費も増える。だが、
消費の拡大は所得を刺激して、さらなる所得の増大と
消費の拡大を生む。
投資に依って増加した所得は、消費を増加させ、消
費の増加は更に所得を増大させる。この循環する現実
の波及効果を分析するには、ケインズの理論は出発点
に過ぎなかったのである。
サムエルソンは、ケインズの乗数理論に「加速度の原
理」を加味する事でこの問題を解決し、動態的に景気の
循環とその波及効果をつかむための精密な理論を確立
した。
経済学は「総ては、総てに依存する」経済現象の均衡
点を分析・解明する事を目的としている。しかしながら経
済全体の一般均衡は、あまりにスケールが大きく、複雑
過ぎてとても手に負えない、と言う事で、マーシャルは市
場の需給に注目して分析のツールを生み出した。財の
価格の均衡点を見出す「部分均衡」の理論である。
経済全体を研究対象とするマクロ分析の視点はケイン
ズに依って齎されたものだが、そこから新たな分析のツ
ールを生み出し、誰にでも使える形で提示したのはサム
エルソンである。彼はケインズ理論を読み解き、ワルラス
からヒックスへと受け継がれた「一般均衡」分析の理論を
完成させた。 終わり