独り言   2月19日 | はなのブログ

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       流転と啓示   29

 サムエルソンは20代の頃から実に多くの、しかも

画期的な研究成果を論文にまとめ、世に問うてきた。

景気変動分析のツールとして経済学の常識を塗り替

えた「乗数分析と加速度原理の相互作用」も、20代

の頃に書かれたものである。論文の数のみならず、

研究分野の広さでも他の追随を許さなかった。消費

者行動、動学理論、国際経済学に厚生経済学。古

典研究もあれば、政策理論もある。

 数理経済学の分野にはワルラスという偉大な先駆

者がいるが、数学を初めて本格的に駆使して経済理

論を打ち立てたのは、サムエルソンより一回り年上の

ヒックスである。ヒックスが主著「価値と資本」を出版し

たのは1939年。しかし多くの経済学者は、微分・積

分や線形代数もろくに分からず「価値と資本」を理解

するのに手こずったのである。

 サムエルソンこそケインズ解釈の第一人者である。

あまりにも難解なケインズの理論を本人に代って読み

解いたのが、サムエルソンの最大にして最高の業績

一つである。

 ケインズは、投資が国民所得に与える影響を分析す

るためのツールとして乗数理論を編み出した。投資が

所得を刺激し、所得を増大させる。その着眼は画期的

だが、ケインズが感心をもっていたのは、それが何処で

均衡するかという事。そのためケインズの分析は、投資

から所得への波及効果だけに集中していた。 つづく