流転と啓示 13
ケインズ理論の功績は、セイの法則の必然的結果
として供給側だけに分析の感心が集中していた古典
派の理論構成を批判し、需要分析にも光を当てた事
である。ケインジアンのなかにはややもすれば供給側
の分析を等閑にするという欠点を見出せない事もない。
古典派のケインズ批判はここに目を付けたのである。
ケインズ理論に依れば、完全雇用に達しない限り物
価上昇は起きない筈であった。しかし60年代において
も失業があるのに物価上昇が進行していた。
60年代後半、ベトナム戦争が泥沼化し、米国経済
も弱り始めインフレが加速すると、ケインズ政策も効
果がなくなってきた。失業とインフレとは容易に代替し
難くなってきたのであった。これを機にケインズ経済学
に対する批判が有力になってきた。
1967年、フリードマンはケインズ政策の急所である
失業率を下げるためのための政府による財政支出は
少しも効果がない。それはGNPを少しも増大させず金
利を上昇させ民間投資を減退を生じさせるだけである
と唱えた。
その後も、フリードマンの主張を更に徹底させたルー
カスやサージェント達が反ケインズの中心となった。
彼等は合理的期待学派と呼ばれた。その理由は、合
理的期待という概念で人間の経済行動を説明しようとし
たからである。 つづく