檸檬 7
堅い話がつづいたので、少し砕けた御話をしたい。
おいら映画が好きなんだけど久しく映画館にいって
いない。
子供の頃、一番の娯楽は映画だった。といっても、
なかなか映画を観に行かせてはもらえず、親の機嫌
がいいときにねだったものだったが、それでも行かせ
てもらえなかった。近くに公民館があり、時々無料の
映画がありよく見に行った。ほとんど娯楽性のない文
部省推薦の道徳映画で、東京の下町の貧しい家庭を
描いたものなどがあった。東京は憧れの街だったけれ
ど、意外に貧しく描かれていて、東京も大変なんだと思
ったことを覚えている。
それ以上に鮮明に記憶しているのが納豆である。納
豆と言えば甘納豆しかしらないぼくは、東京の人たち
が朝納豆をご飯にかけて食するのを見て腰をぬかした。
なんと訝しき食習慣があるのだろうと。
ぼくは、恥ずかしいことだけれど、納豆もギョウザも、
ましてや、かりんとうのようなかたい焼きそばなど、東京
に行くまで食ったことがなかった。初めてギョウザを食っ
たときタレの作り方がわからず、きょろきょろと周りを見
回し他人のしていることを真似た。
いつものように映画の話が、脱線してしまった。浅学非
才を詫びる。