檸檬 8
アダム・スミスの基本思想、それは市場の自由に
任せておけば、最大多数の最大幸福は自ずと達成
されるというものである。
近代資本主義が一応の完成を見るのは産業革命
後の事であるが、スミスが生きた時代の英国には既
にその骨格が見られた。企業家は地主から土地を、
銀行家から金を借りて産業をを輿し、労働者を雇っ
て生産を行い商品を作った。その売上げで地主に地
代を、銀行家には利子を、労働者には賃金を払い残
りを自分の儲けとする。
だが、当時の市場は中世以来の古い慣習や規制
に縛られもし、不自由なところであった。経済の繁栄
を求めるならば、市場を開放せよ、規制なんぞ捨て
去り、自由市場を実現すれば、社会は最大多数の最
大幸福を達成できる。これがスミスの主張である。
一体モノの価値(価格)は何に依って決まるのか、学
問として経済を学んだ経験がなくとも、需要と供給と答
える。しかしその理論がまとまるまでに時間がかかった。
スミスはモノの価格は、それを作るためにどれだけの
労働を要したかに依って決まるという学説を打ち立てた。
これが労働価値説である。 つづく