雪だるま 1
日本人は、昔から論理が苦手であった。日本人は論争
嫌いだから、論理学が発達しなかった。それに対し中国
・朝鮮は論争が大好き人間の文化圏だ。論争をしだした
ら止まらない。しかし殴り合いになることは少ないらしい。
反対に、日本人は論争をするよりか、すぐ取っ組み合い
になる、とみられているらしい。
日本に比べて遥かに発達した中国の論理学も、インド
に比べれば比較を絶して劣っている。中国とインドは、
古代東洋において、最高文化の双璧であったが、哲学、
宗教に関する限り、インドは圧倒的に中国を凌駕してい
た。
インド論理学のレベルは、ギリシャ論理学と肩を並べる
ほどの完成度があった。ギリシャにおいて成立した、アリ
ストテレスの形式論理学は、完成された論理学と2000
年間思われていた。
世界最初の完全理論として長く学問の手本となったユー
クリッドの幾何学原論は、アリストテレスの形式論理学のみ
を用いて公理から定理を導き出している。形式論理学が記
号論理学によって克服されたのは、ドイツの数学者ヒルベル
トによってである。
2000年にわたり世界を支配したアリストテレスの形式論
理学を、空の理論家龍樹が否定したのである。空観は、形
式論理学を否定した一種の超論理学を使っている。このこ
とが、空の理解を困難にした。空を無と混同された。
空と無の違いを説明する。無というのは有に対立する概
念であるのに対し、空はその両者を超えた概念である。空
は有でもなければ無でもない。と同時に有であり無でもあ
る。また、有と無以外のものでもある。形式論理学でいえば
全くありえないこの論理が、仏教の最も大切な論理なので
ある。 つづく