独り言   12月20日 | はなのブログ

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         彼岸   5

 ノーマン・メイラーの裸者と死者を買ったのは、

しか、19さいだった。徳島の駅前のいまはな

くなったけど小さな本屋だった。そのときカミユ

ーの異邦人とカフカの変身も買ったけど大成功

だった。こんなことは少ない。いつも当たりはず

れがある。はずれといってダメ本といってしまう

のではなく、読む時期が早すぎたり、あるいは遅

すぎたりすることがある。

 昨日書いたトニオ・クレエゲルはマンの自伝的

小説なので、できれば思春期に読んだほうが一

番いいと思う。

 ゲーテのファアストは18さいのとき、東京へ受

験に行ったおり神田の古本屋で買った。恐ろしく

難解な本で3ペイジばかりで沈没していまだに読

んでいない。

 吉本隆明の言語にとって美とは何かは、三宿の

古本屋で買った。お金が10円足りなくて店の人に

そういったら「はい」と言って2冊の本をくれた。嬉し

かった。そのころ吉本氏は学生のあいだで神様の

ような存在であった。神様のご託宣を拝聴するよう

に氏の本をむさぼるように読んだのが思い出される。

 梅本克己の過度期の意識を買ったのは、19さい

だった。いまもあるかしら名にし負う早稲田の文献

堂である。小さな古本屋であるが、ぼくはこの店に

はいるとき心の中で一礼をして入った。初めて買っ

た哲学書であるが大当たり。ぼくはくりかえしくりか

えし、この本を読んだ。いまでもぼくの血肉にま

がいなくなっている。かくのごとし。