白河夜船 14
嫉妬つて不毛な感情じゃないって言うことは
多分ん分かっていたことなんだと思っていた。
不の感情っていうかんじがどうしても付きまと
うんだけれど、これは一考を要するひとつの
事件とでも名づける価値があると推察する。
たしかに嫉妬に苦しむということはある。実
は恥ずかしいことながらぼく自身嫉妬に苦し
んだことがあったし、いまもその渦中でもある。
ジョン・レノンはポール・マッカートニーの才
能に嫉妬してたらしいが、これは不毛だった
であろうか。否である。この嫉妬ゆえにイマジ
ンがうまれたともいえるのではないか。
人間にはさまざまな感情がある。喜怒哀楽、
その感情の中で人間は喜び苦しむ。しかし、
その苦しみのなかから創造のエネルギーを
創りだし、おもわぬ作品をわれわれに贈与し
していただけるのではないのだろうか。あま
たある人類の所有する芸術作品のなかにも、
愛からうまれた作品もあるが、必ず嫉妬から
ひりだされたまばゆいばかりの作品もあるに
ちがいない。