白河夜船 2
清水寺のライトアップの夜桜は妖しいまでに美麗
である。これは古都京都の歴史のなせる業にて、
新興の開発地がいかに晴れやかに飾ろうとも、い
かばかりか。デズニーランド然り、その他あまたの
行楽地にもいえること。あえて言わしてもらえば、家
柄がちがうのだ。これはもうせんなきことなのだ。中
国と米国の違いに似たり。時間の濃くとでも言おう
か、あるいは歴史の妙とでも名づくるか、この差は
たしかに厳にある。
京都の闇に妖怪が漂っている。恨みつらみを残
して怨霊が彷徨っているのだ。そう言う背景がある
がゆえになおさら桜の花が妖しく咲き乱れるのであ
る。梶井基次郎ではないけれど、桜の木の下には、
妖怪や怨霊の死体が埋まっているのだ。そう思っ
て、あの爛漫と咲く桜のきを見てごらん。だってあ
んなに桜の花が綺麗なのは信じられないことでは
ないか。桜の木のしたには死体が埋まっているん
だよ。きっと。これは信じていいことなんだ。