諤諤たる愚人の記 2
こんどは吉田が村木の家を訪ねた。
「なんだい、にやにやしておかしいぞ」
「いやね、留守かもしれないと思ったんだ」
「それはききずてできないね。俺の留守をねらってきたのか」
「まぁそうやくな」
「やきやしないさ、おまえのいいぐさがへんだからさ」
「どうだい、そのごパソコンのほうは」
「このあいだね、へんなことがあったんだ。きいておくれよ」
「きくさ、どんなことだい」
「おれがね、ブログしてたんだ。そしたらコメントがはいったんだ。初コメでね、
おれのブログの感想さ」
「よくあることじゃないか」
「そうとも、よくあることさ。いろいろ書いて、最後のほうに宮沢賢治の有名な、
世界全体が幸福にならないうちは個人の幸福はありえない。とニーチェの、ま
ず自己愛、そして余裕があれば、他者愛。おれは賢治のテーゼは正しい。でも
おれはニーチェの言葉に救われたことは、俺個人の感想だけど、感想もいけな
いのか。思想をジヤッジにかけるな、と言ってね。俺はジヤッジなんかしてない
ぜ。賢治のテーゼは正しい、と言っているのにね。ただ俺はニーチェの言葉に
救われた、と言うとジヤッジしたことなるのかね?そもそもジヤッジしてなぜ悪
い のかわからない。ただ賢治の言葉が息苦しい、と書いたんだ。これかぁ?」
「それさ、そんな人にとっては賢治は神様だから、ちょつとしたケチも気に
入らないのさ。なんにも言えないな」
「批判もできないのか、ファシズムだなぁ」
「そんなおおげさなものか、ファンがアイドルをけなされたので、怒ったのさ」