ふらふらの記 20
昨日、ぼくにはめずらしく心乱るる事の由ありて、パソコンのまえに座れど
字一字もたたけず、いたずらに時が過ぎゆくのみで、やがて東雲、窓外には
野鳥のこえも聞こゆる。灯火のなかのぼくも、やがて朝日にのみこまれ、さな
がら光の洪水のごとし。太陽はありがたい。ぼくの頭の中のゴミのような心配
といおうかお節介と呼ぼうか、夜の闇がかもしだす妄想を粉砕してくれた。よ
しやぼくがあれこれ思い悩んでも所詮は人様の事、ままよ正邪は神任せ、さ
さ日常はまってくれない、友人の借金の保証を頼まれたが、断ろう。これで友
を一人失ったが、一晩悩んで決めたこと、問題一つ解決、やれ嬉しや。
ぼくは女性を好む。いゃ舌足らずか、正確には手が好きなのである。表も裏
も好きだ。だがどちらが表でどちらが裏か。それは簡単だ。掌が表で、手の
甲が裏だ。このぼくの判断に異論のある方は手をあげてもらいたい。ありま
せんね。でわそうさせていただく。
子供の手はいけませんね。男の手も女の手もおなじだ。やはり25,6歳、そ
れも処女の手は除く。男を知った、油がたっぷりのった霜降りがなによりだ。
その手をぼくはしげしげ眺め、裏表の趣を楽しむ。一人ひとり異なる表情があ
り、手のひらより、甲を眺めて飽きない。ふっくらした甲、すんなりと伸びた指、
爪の形もよくマニキアは自然ないろがいい。時々指や手をうごかしてもら
ったりしていただくとこのうえない。あえて誤解をおそれず言わしていただくと、
たとえばあなたがあなたのアレをみせてくださると言われても、ぼくは首肯い
たしかねる。だってこんなにもエロスがぼくの目の前にあるのだから。キザを
承知でこう言いたい。君の手に乾杯!と言ってぼくは見えないブランデーグラ
スで、ブランデーを一気に飲み干した。