独り言  7月17日 | はなのブログ

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         ふらふらの記   7

     家のちかくに病院がある。O病院というが、朝はやくから老人が待合室でに

    ぎわっている。

     「おまはん元気でないで。なんぼになるんで」

    百姓をしている木田75歳は80歳の佐藤に言った。

     「もう死にかけでわだ。おまはんより5歳うえでわ。おまはんが1年の時わし

    は6年じゃった」

     佐藤は年金生活者で、妻は3年前に亡くなったやもめである。

     「ほなかいな、もう忘すれたわでわ。ところでおまはんどこが悪いんで」

     「このごろよう眠れんのじゃ、眠りがあそうてなぁ」

     「ほりゃ年がいけば眠れんようになるでわだ。わしは高血圧でな、ひどいとき

    はふらふらして気分が悪いでわだ。わしにくらべればおまはんはまだええで

    ー、眠れんでも死ねへんは」

     「生きとってもつまらん。家内がのうなって一日が長いでは。今思うともうちょ

    つとやさしゅうしとけばよかった。けんかばっかりしょったけんな」

     「ほうじゃな、どこの夫婦もおなじでわだ。うちもけんかばっかりじゃ。家に帰

    るのが気が重い。一人のほうがなんぼええか」

     「それはないものねだりじゃ。一人は退屈でよ。けんかしてでも家内がおる

    ほうがよかった。おまはんはぜいたくでよ。話相手があるだけでもありがたい

    ことでないで。嫁はんだいじにせなあかんでよ」

     「ほうで、そんなもんじゃろか。そんなら今夜あたりひさしぶりに家内の尻で

    も撫でてやろうか。はははは」

     「そうしない。女はいつまでたってもうれしんもんじゃ。はははは」