便所考 VOL4
ぼくが高校に入学した時、便所は男女共用だった。そのうち木端役人たる先
生もきずいたのか、やがて男女べつべつの便所ができた。先輩たちはさぞや
苦労したであろう。これで問題が解決したかといえば、先に書いたようにそうで
はありませんでした。
ある日、休み時間に友人といっしょにトイレ行ったとき、ガラの悪い男子学生
がやってきて大の個室のドアをあけたのです。あっと、そのおとこは声をあげ
た。なかに先客がしゃがんでいたのだ。
「こんなところで、クソするなよ」と、ガラ悪は声をはなちドアをバタンと閉めて
さっていった。これはしかしあきらかにガラ悪が間違っている。この個室はそう
いうことをする部屋なのだ。ガラ悪のように喫煙室として使用してはいけない。
ちなみに、全てのドアのカギは壊されている。このように閉鎖的な組織では常
識が通用せず、力があるものが規則を作るのである。軍しかり。カルトしかり。
組織にはかならず組織エゴがうまれる。
ぼくもそんな光景があるので、トイレをあきらめて、校庭ををはしり隣の桑畑
にとびこみズボンえを下ろした。さわやかな風が吹いていたのを覚えている。あ
ぁ助かった。やゃ、紙がない。あわてていたのでそんなことは頭になかった。ど
うしょう、頭の中が白くなった。トイレで紙を使うようになっなのは最近のはず、
では昔はなにを使っていたのか?とまわりを見渡せば、なんと桑の葉、神はぼ
くをみすてなかった。御蚕さんには悪いけど、6枚ばかりいただき、清潔におそ
うじ。やれやれとベルトをしめたが、なにやら視線を感じ、ふりむくと、桑畑の葉
の間からとおくで老人がこちらを見ているではないか。しかし彼はぼくをとがめ
なかった。彼のことをいまでもキリストだったと信じている。