独り言  6月8日 | はなのブログ

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           ぼくが銭湯をすきな本当の理由  特別編 2

    思春期の男が手始めに思いつく悪さは女だろう。かといって、買いに行くに

   は勇気と金がない、渋谷あたりでナンパして、ということも考えたが、田舎育ち

   で関西弁では嫌われるのではないかと、ちと気おくれがする。現に下宿の娘の

   晴美ちゃんを、おまえとよんで、しかられてしまった。江戸の女は怖い。阿波藩

   は徳川幕府比べて、あきらかにかくした。怒らせばとり潰しになるは必定、か

   りそめにもうわついた心根でちかよってはあいならぬ。

    さていかなる行動をおこすべきか、つらつら愚考してみるに確たる思案もうか

   ばず、ひねもすしょざいなきままに、もんもんたる日々にあけくれる。

    ある日レーニンの何をなすべきかを読みながら、玉電という極めて男性を連

   想させる名の電車にゆられて、ふと目を窓外にやれば、なにやら卑猥な看

   板、これだとひとり合点したのが用賀の駅。用賀いえば東条秀樹がすんでたと  

   ころ、まぁ、ああいう生真面目な官僚が国を殺めるのか、と思いつつ、目はあく

   までも卑猥な看板をとらえてはなさない。

    翌日、さっそくいくばくかのおあしをもってその劇場へ。キップを買うときこころ

   なしか声が震えたのをおぼえている。われはおのこ、花も嵐もふみこえるのが

   定め、決死の覚悟で座席にすわり、いまやおそしと聖なるものをご拝顔にあず

   かりたく清く正しく心をしずめまちもうした。やがて音楽がなり、けばけばしいス

   ポットライトがステイジを照らして、踊り子が東条、いや登場。なんと、阿波踊り

   をおどりだしたではないか。ちがうちがう、ぼくは卑猥を、エロスを、いやらしさを

   期待して、はるばる地の果て徳島からやって来たのに、阿波踊りは飽食してい 

   るのだ。トホホ       づづく